漢字Talk7.5.2(とPCI-Mac)の問題点と注意点 (アップデート版) |
(漢字Talk7.5.3を含む追加情報7/28) |
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このページは95年11月15日に本MacintoshニュースのTOPICSに掲載され同30日に独立したページとして公表された「漢字Talk7.5.2(とPCI-Mac)の問題点と注意点」のアップデート版です.
PowerMacintosh 7200,7500,8500,9500などの製品に添付の漢字Talk7.5.2 (米国ではSystem 7.5.2 )にはネットワークとプリントの機能に問題があります.これらは次期漢字Talkの新バージョン(漢字Talk7.5.3)ではほとんど解決される見通しです.従ってこのページは漢字Talk7.5.3が発表されることで役割を終えることになります.
ところがSystem7.5.3はアップデート版(System7.5Update2.0)が発表されたのですが,漢字Talk7.5.3は96年4月の見込みから6月まで発表が延びてしまいました.そのため,4月に誰にも利用されなくなってから削除しようという私の当初の目論見は外れてもう少しの間役に立てることとなりました.
そうなると,すでに最初にこのページを作成してから数カ月がすぎ,事態も新たになったことなどあって本ページも手を入れる必要にせまられ,アップデートを行うことになりました.
本バージョンは旧バージョンを簡易にし,主に解決法に絞って記述しています. SpeedDoubler特にSpeedCopyの問題, メモリの交換, MacTCPによるシステムインストール手順,コンフリクトなどについては旧バージョンを参照願います.(4月13日)
このページは急遽書いたものですので不都合など少しずつ修正しております.最新のものを参照下さい.また,特にPPP接続は最近動きがあるようです.私はPPP接続はしておりませんのでここで書かれた情報を追試された方やPPPについてお教えいただける方は情報をお寄せ下さるようお願いいたします.(4/17)
E-mail:akiyama@ed.kagawa-u.ac.jp
漢字Talk7.5.3を含む追加情報(7/28)
7/28追加情報
要約
Open Transportの問題の症状
Norton Disk Doctorの問題
問題のあるOpen Transportのバージョン
バグフィックスバージョン
Open Transportの問題の原因
異常が出たときの一時的復旧法
シリアルポート,PPP接続の問題
問題解決の方法
System7.5.3インストール方法
Open Transportのアップデート方法
TCP/IPの設定方法
MacTCPの使用方法
ハードディスクドライバの問題
SpeedDoublerの問題
初期7200/90のEtherポート不良製造ロット
要約
●9500,8500,7500,7200他に添付された漢字Talk7.5.2にはOpen Transport1.0.4,同1.0.6とシリアルドライバーに欠陥がある
●Open Transport1.0.4,同1.0.6のバグは様々な障害を(ネットワーク関係以外にまで)拡大して起こすことがある
●バグのあるOpen Transportのバージョンは1.0.8までで,1.1では(完全ではないが)ほぼ解決され,実用には差し支えない
●対策には次の3つの方法があり,一般的な使用にはほとんど差し支えなく解決できる
[第1の方法] System7.5.3にする
System7.5.2をインストールし,さらにSystem7.5Update2.0をあててSystem7.5.3として使用する.
[第2の方法] Open Transportのアップデート
Open Transport 1.1 またはOpen Transport J1-1.1及び漢字Talk7.5.2アップデート,LaserWriter8.3.2Jかまたは7.5.2 Printing Update 1.1及びEthernet (Built-In)1.0.2をインストールする.(バージョンは統一すること)
[第3の方法] MacTCPの使用
TCP/IPコントロールパネル書類をMacTCP2.0.6に入れ替え,機能拡張からOpen Tpt Internet LibraryとOpenTptInternetLibを外し,漢字Talk7.5.2アップデートとLaserWriter8.3.2Jまたは7.5.2 Printing Update 1.1,Ethernet (Built-In)1.0.2をインストールする.
この方法でのOpen Transportの障害はPRAMクリアで対処できる
●これらのいずれも購入時の状態のハードディスクか,添付されているドライブ設定J1-1.0.2以降または最新サードパーティ製ハードディスクドライバでイニシャライズされているハードディスクでことあること
●ダイアルアップPPP接続はOpen Transportを使用する場合,Open Transport J1-1.1他上記対策をとり,その上で FreePPP 2.5ベータ版 または MacPPP 2.5,それにConfig PPP2.5をインストールすることが考えられる.ただし,この方法はそれらが公表されたばかりなので確かなことは言えない.
Open Transport1.0.4及び1.0.6の問題
●発生する症状
[A] Network関係のApplicationの異常
Eudraが送れない,Fetchでログインできない,できてもputできない,telnetも同じ,Netscapeでフリーズする,とほとんど全てのインターネット関係.
[B] Apple Talk切り替えエラー
Apple Talk切り替え時にフリーズしたり,Type3Errorが出るなどして切り替えることができない.
[C] Finder上のエラー
Finder上での操作中にType11Error,No FPU Errorが多発する.
[D] システム起動終了時のエラー
Macintosh起ち上げ,終了時にフリーズしたり,Type11Error,No FPU Errorが出て,起動,終了できない.他にエラーダイアログのフレームのみ現れる,フレームがブルブルふるえる,PowerTalkマネージャCHKエラーが表示されるなどの見かけがあってさながら普段見ることのできないエラーのオンパレードになる.
shiftキーで起ち上げると起動できる.
CD-ROMの漢字Talkシステムソフトウェアから起ち上げると爆弾が出る.
[E] ハードディスクがマウントできない, SCSI異常が起きる
起動できない.起動Diskが見つからないというフロッピーディスクに?が点滅するアイコンが表示される.SCSI上に見つからない(SCSIProbeに認識されない).Noton3.1.1で異常(カタログBツリーエラーなど)を報告される.(ただし,NetscapeがらみのカタログBツリーエラーはOpen Transportの問題ではなく,Netscapeの初期設定ファイルの問題である)Norton3.1.1で修復不能,再フォーマットが必要と出る.「このディスクはMacintoshでは読めません,フォーマットしますか?」が出る.異常があるのでフォーマットしますかと各フォーマッタが聞いてくる.各フォーマッタで認識不能となる.様々な方法でも認識できない.
[F] メモリ関連
PowerTalkがメモリ不足で起ち上がらないなど,システム機能拡張などのシステムに組み込まれる機能がメモリ不足と出て機能しない.
なお,Open Transport1.1b16以上で次のような状況が起きることがある.
TCP/IP接続を要するアプリケーションを起ちあげた後,終了しても確保されたメモリ領域が解放されない.これはバグというわけではない.この点についてはTCP/IPの設定方法を参照いただきたい.
●ハードディスクの問題が起きた場合の注意
フォーマッタやDisk修復プログラムのいうとおりフォーマットすればデータは失われる.これらのエラーはハードディスクに問題があるわけではない.PRAMクリアを行うことで認識できるようになるので,はやまってフォーマットなどしないように.
漢字Talk7.5.2において,ここで書かれた問題解決が十分できていない状況下でNorton3.1.1は大変危険な道具になる.Open Transport特に1.0.8以下のバージョンに起因するハードディスクトラブルをNorton3.1.1に解決させることは効果がないどころか,問題を回復不能にする.これはNortonに限った問題ではなくどのハードディスクユーティリティでも起こり得る.
これとは別に初期PCI-Mac搭載のハードディスクについてNortonでディスクの異常を報告し,修復するとデータが壊れるという問題があった.Disk Spot Checkという対策のためのユーティリティがSymantecから供給されている.
●問題の起きるOpen Transportのバージョン
及びバグフィックスバージョン
Open Transport 1.0.4
Power Macintosh 9500にバンドルされているバージョンで最もバグが多い.
Open Transport 1.0.6
Power Macintosh 8500,7500,7200にバンドルされているバージョンでOpen Transportの問題は殆どがこのバージョンについて言われていることである.
このバージョンまではTCP/IPコントロールパネルをMacTCP2.0.6に戻す対処法が多く採られた.
Open Transport 1.0.7
国内で販売されたPower Macintosh 9500 購入ユーザーに送付されたCD-ROMにバンドルされたバージョン
Open Transport 1.0.8
米国Apple FTP で95年に配付されたバージョン.WWWのブラウジングといった一般のネットワーク使用に関してはこのバージョンでなんとか使用できるようになったが,UNIX間のファイル転送などでの問題はあまり解決されなかった.
Open Transport 1.1b16
パブリックベータ版として本年1月中旬に米国AppleFTPで公開されたバージョン.このバージョンに至って問題はほぼフィックスされた.対応していないアプリケーションとの互換性とインストールできないMacintoshがある点などの問題を残すが,Open Transportそのものの問題は劇的に減った.
また,このバージョンは68K(030,040)Macintosh,非PCIPowerMacintoshでも動作するOpen Transportを含んでいる.
このバージョンからはインストールの際にシステムリソースを書き替える.このことは次の注意を喚起する.
・インストーラからインストールしないと動作しない.
・MacTCPとの互換はなく,MacTCPインストールユーザーは削除してからインストールしなければならず,また,インストール後システムスーツケースの書き換えなしに元に戻すことはできない.
この注意事項は以下に書かれた1.1バージョンの全てに共通する.
Open Transport J1-1.1
アップル ジャパンのFTPで3月初めに公開されたバージョン.コントロールパネルのインターフェースなどが日本語表示となっている.内容はOpen Transport 1.1b16に近いと思われるがOpen Transport 1.1b16との互換はない.また,PCI-Macでのみ動作し,68K(030,040)Macintosh,非PCIPowerMacintoshには対応しない.
Open Transport 1.1
米国AppleFTPで3月12日に公開されたSystem7.5Update2.0によってアップデートされたか,または製品として供給されたSystem7.5.3に含まれるバージョン.現時点(4/12)で最新のバージョンで信頼性も最も高い.
しかしながら,漢字Talkでの使用はSystemリソースの書き換えの問題から一般には勧められない.あくまでも英語Systemでの使用を推奨する.
なお未解決の問題としてOpen Transport1.1b16で指摘されていたのは次の点
・以下のPerformaまたはPower Macintoshの機種でインストールできなかったり動作しなかったりする.
5200,5300,6200,6300,IIvi
・新型PBでの問題(2300,5300,190 問題内容は不明)
・PB540でのAssistant ToolBoxとの問題(AppleTalkの設定が元に戻る)
・仮想記憶とMacPPPまたはFreePPPの問題
・Duoのスクリーンセーバの問題
・LaserWriter Bridge,LocalTalk Bridge v.2.0.1またはそれ以前のバージョンとの非互換性
・Apple IP Gateway,AppleTalk Internet Router との非互換性
他各種アプリケーションでの問題など
このうち,LaserWriter BridgeとLocalTalk BridgeについてはAppleからパッチャー( LaserWriter Bridge OT PatchLocalTalk Bridge patch)が出たので解決されたものと思われる.また,仮想記憶とMacPPPまたはFreePPPの問題はFreePPP2.5ベータ版でどうなったのかはまだ不明.
インストールできない機種については現在も未対応であるが,Appleは対応版のOpen Transport1.1.1を開発中.3カ月以内にリリース予定.
Open Transport1.1で現在デザイン室で起きるトラブルはFetch 3.0.1に関する問題で,一度に多くのファイル,下位ルートディレクトリ(フォルダ)を含んだフォルダのUNIXへの書き込みでエラーが出る.これはFetch3.0.1に起因するエラーの可能性もあるのでOpen Transportの問題かどうかは不明である.Fetch2.1.2では問題ない.
漢字Talkでの日本語システムにOpen Transport1.1(または1.1.1)が最初から組み込まれて製品化されるのは次期漢字Talk7.5.3と見込まれる.このリリースは6月に国内発表されるPowerMacintosh7200/120,7600/120,8500/150の漢字Talk版にバンドルされると予想される.7.5.2に対する7.5.3アップデータのFTPからの配付については何も発表されていないが,これまでの例からはフォントに変更がなければ行われる可能性が高いと予測する.
●問題発生の経路(推測)
問題は次の3つの発生の仕方をすると推測される.
1.単にOpen Transportの異常からNetwork関係のアプリケーションに異常が発生する.
(●発生する症状[A]のケース)
2.Open Transportの異常が原因で,ネットワーク切り替え時などでPRAMとOpen Transportが不整合な状態ができる.
(●発生する症状[B]のケース)
3.PRAM書き換えで異常が発生し,PRAMの他の内容にまで影響が及んでしまう.つまり,PRAMの内容が壊れる.
(●発生する症状[B]から[E]のケース)
2の状態を推測することでshiftキーで機能拡張を除くと起ち上がることの説明が付く.3の状態を推測することでハードディスクやSCSI関連の異常が説明できる.また,問題が起きたり起きなかったりするマシンが同一環境内に存在することはこれら3つの発生の仕方がマシン毎の使用のされ方によって2と3の症状が生起したりしないことで説明がつく.
Open Transportの問題と言っていいかどうか分からないが,Open Transportはメモリ管理がCoplandのものを先取りしているらしく,そのため,メモリ管理関連で問題がシステムに発生することがある.これらは比較的最近のバージョンで起きる問題である.(古いバージョンでもあったかもしれないが他の問題が多かったためあまり表面には出なかっただけだろう.もしかすると全てのOpen Transportトラブルの原因はここに起因するのかも知れない.)メモリ関連のトラブルが起きる場合はこの点からの可能性がある.(●発生する症状[F]のケース.この問題,例えばPowerTalkがメモリ不足で使えないと言ってくるなど,が起きた場合,コントロールパネルのメモリでディスクキャッシュの値を変えて再起動してみる.)
●PRAMクリア
購入した状態で「●発生する症状 」で述べられたような問題が発生したときには次の方法を採る.
再起動,リセットなどして,PRAMクリア(とあわせてハードディスクトラブルの場合はDesktop再構築-Finderが表示される直前にcommand+optionキーを同時にダイアログが出るまで押し続けダイアログでOKをクリックするかリターンキーを押す-)を行う.
これで上記のトラブルは一時的に解決できるが, たまに,System(スーツケース)が壊れている場合があり,PRAMクリアで直らない場合はSystem(スーツケース)をバックアップのものに変えて再起動PRAMクリアを行う.
なお,PRAMクリア後の再設定を要する事項は次の通り.
・起動ディスク
・メモリ(なるべく仮想記憶は使用しない)
・マウス
・AppleTalkまたはネットワーク
・サウンドまたはサウンド&ディスプレイ
・一般設定
・モニタ
・セレクタまたはChooser
・Video カード,アクセラレータの設定
など
●PRAMクリアの方法
起動時,再起動時,起動音直後にcommand+option+P+Rキーを同時に押し続け,また起動音が鳴る.これでPRAMはクリアされる.PCI-Macは1回でクリアされるようであるが念のために3回起動音が鳴るまで押し続けてからキーを開放し起動する.
(PRAMとはパラメータRAMのことでユーザーが設定したいくつかの情報を電源オフの状態でも記憶が消えないように内蔵電池によってバックアップされたメモリのこと.ハードディスクのマウントやメモリ,ネットワークの状態などOpen Transportで起きる問題はこのPRAMに蓄えられた情報に異常が起きるためにそれをクリアするのである)
警告
PRAMクリアはVideoカード,アクセラレータの設定が元に戻るので,サードパーティの自動認識機能のないVideoカード,アクセラレータを使用していて再設定の方法が分からない場合はMacintoshを使用することさえできなくなる可能性があるのでそれらマニュアルによって再設定の方法が明らかである場合にのみ行うように.
シリアルポートの問題
プリントできない.PPP接続ができない,ネットワークプリントができない.できても大変遅い,途中で終了してしまう(特に大きいfile),などの問題が起きる
プリント関係は7.5.2 Printing Update 1.1や漢字Talk7.5.2アップデート,LaserWriter8.3.2J,HPのDeskWriter 6.0.3他各社のドライバーで改善されているようだ.デザイン室ではPCI-Macからのシリアル接続は行っていないためにシリアルの問題は起きずプリントの問題は最初からなかった.したがって, 7.5.2 Printing Update 1.1や漢字Talk7.5.2アップデート,LaserWriter8.3.2Jの有効性は実際に試すことはしていない.ただ,この記事を参照された方からは有効であったとメールをいただいている.これらのアップデーターのうちにはOpen Transport1.0.7以上で作動するものがあるのでOpen Transport 1.1 またはOpen Transport J1-1.1に同時にアップデートすることが望ましい.
デザイン室ではインターネットは専用回線であるためダイアルアップPPP接続を行っていないのでPPP接続については確言できないが,多くの問題に終止符を打つべく開発されていたFreePPP2.5ベータ版およびAppleからMacPPP 2.5とConfig PPP2.5が最近公表されたので試していただきたい.
特にPPP接続についてはTidBITS-J-306およびTidBITS-J-307およびこれらの記事の筆者のページAn overview of Macintosh PPPsoftware に記事がある.
Travis Butler氏によるとMacPPP2.5とFreePPP2.5は共通部分が多いが同じではない.これらはMacPPP 2.1.2SDを書き直したもので,FreePPP2.5はまだバグがある.またAppleのPPP2.5は完璧に動くという話を受け取っているようだ.
問題解決の方法
問題解決には次の3通りの方法がある.
[第1] System7.5.3にする
[第2] Open Transportのアップデート
[第3] MacTCPの使用
●それぞれの方法の長所と短所・注意点
[第1] System7.5.3にする
長所
・トラブルがほぼ解消され安定する
・Open Transportの速さと便利さ
・新システムのパフォーマンスの増大,安定性,新機能の享受
・SpeedDoublerを使用しなくても十分速いこと
短所・注意点
・System7.5.2(E)が必要であること(またはSystem7.5Eか7.5.1Eと,できればそれらが動くPCI-Mac以外の機種を持っていること)
・そのままでは当然日本語は表示できない.日本語を表示するには多少の知識,経験を要する
・(使用には殆ど差し支えないが)ネットワーク関係,メモリ関係のトラブルが完璧に解決できていない点のあること
・System7.5.3に関する別の問題,特にインストーラに起因するトラブル,ハードディスクドライバの注意などがあること
・AutoDoubler,CopyDoublerの使用に問題があること(アップデータが出ました.5/8)
・Apple IP Gateway,AppleTalk Internet Routerとの非互換性.Apple Remote Accessの使用にやや注意を要すること.
・漢字Talk7.5.3が出たときの移行が少々厄介であるだろうこと
[第2] Open Transportのアップデート
長所
・トラブルは概ね解決され安定する
・もっとも簡単に短時間でできる解決法であること
・ネットワーク関係のパフォーマンスの増大と便利さ
・漢字Talk7.5.3が出たときにスムーズに移行できると予想されること
短所・注意点
・(使用には殆ど差し支えないが)ネットワーク関係,メモリ関係のトラブルが完璧に解決できていない点のあること
・Apple IP Gateway,AppleTalk Internet Routerとの非互換性.Apple Remote Accessの使用にやや注意を要すること.
[第3] MacTCPの使用
長所
・完全にネットワーク機能を使用できること
・Apple IP Gateway,AppleTalk Internet Router,Apple Remote Accessが使用できること
短所・注意点
・MacTCP2.0.6の入手とインストール,設定が面倒
・トラブルはときたま再発する.その度にPRAMクリアを要する
・システムの切り替え,ハードディスクの切り替え,ネットワークの切り替えなどはPRAMクリアなしには行えない
・遅い
・漢字Talk7.5.3が出たときの移行では第2の方法と同じことを行わなければならないので二度手間となること
上記のそれぞれの方法の特徴を考えあわせ,自身で方法を選択決定されたい.
デザイン室ではこれら3通りの方法全てがバラバラに採られていて,一定していない.概ねパワーユーザーは第1,ものぐさや達観者は第2,未知の問題発生に対処できない,システムの切り替えなどの必要のない初心者は第3の方法を採っている.なお,アップルジャパンでは第2の方法のうちOpen Transport J1-1.1及び漢字Talk7.5.2アップデート, LaserWriter8.3.2Jのインストールを推奨している.
System7.5.3インストール方法
System7.5.3は英語Systemで,漢字Talk7.5.3は6月に発表と考えられている.この方法は英語Systemで行うことが前提となる.
あらかじめ,アップルジャパン FTPからSystem7.5Update2.0を入手しておく必要がある.これは21MBもの大きさなのでネットワークトラフィックを増大しないよう身近で入手している人がいれば分けてもらうようにしていただきたい.
インストール対象は必ず英語Systemとし,System7.5,System7.5.1,System7.5.2の何れかに対して行う.(PCI-Macのみを所有している場合は次に書く理由から,System7.5.2に対してしか行えない)
インストールするデバイスドライバはSCSI Manager 4.3に対応していなければならない.Sys7.5.3はSCSI Manager 4.3はシステム内に組み込まれているため選択の余地はない.必ず対応している最新のドライバを使用してイニシャライズされたデバイスで使用すること.
System7.5Update2.0のインストールについてはインストーラに起因する少なからずの混乱が起きている.このインストーラは次のような特質を持っているのであらかじめ理解しておきたい.
●より後にインストールされたファイルは更新しない
●英語システム下で有効
簡易インストールでは,バージョンではなく,インストール期日についてチェックを行い,古いファイルのみ更新する.このため,バージョンの古いファイルがそのまま更新されずに残ることがある.インストールはカスタムインストールとすること.また,英語システムで起動していない場合,インストーラは途中でインストールを中止する.新規インストールされたシステムから起動してそこにインストールすることが簡単である.これらの理由から,System7.5,System7.5.1のアップデートのためには,通常,それらが起動できるMacintoshが必要となる.
1.(PRAMクリア後,ハードディスクに異常のないことを確認して)System7.5またはSystem7.5.1またはSystem7.5.2(全て英語版のこと)のうちの何れかを起動ディスクでないボリュームに新規インストールする.(例えば,異なったパーティションのボリューム,外付けのハードディスク,MOなど)
この時にカスタムインストールを行いOpen Transport,MacTCP,TCP/IP,AppleTalkなど次に削除すべきファイル類としてリストされているものはインストールしない.(できるだけ最小限のSystemとして新規カスタムインストールする.)
削除すべきファイル類
1.Chooser
2.AppleTalk
3.TCP/IP
4.Open Tpt AppleTalk Library
5.Open Tpt Internet Library
6.Open Transport Library
7.OpenTptAppleTalkLib
8.OpenTptInternetLib
9.OpenTransportLib
10.Shared Library Manager
11.Shared Library Manager PPC
12.Menu Manager Update
13.MacTCP DNR
14.MacTCP
15.Network
2.新規にインストールされたSystem Folder にファインダーアイコンがついて起動システムフォルダになっていることを確認し,さらにもう一度,Open Transport関連のファイルがないか確認し,もし残っていれば削除する.Preferencesフォルダの初期設定ファイルを忘れないように.(Open Transport関連以外にできるだけ最小限のSystemとする.デザイン室では,Systemスーツケース,Finder,Enablerのみからなるシステムフォルダを作成してそこにインストールしている)このボリュームから起動する.(必ずしも新規インストールされたボリュームまたはシステムから起動しなくてもよいのだが,英語システムが起動している状態にしなければならない)
3.System7.5Update2.0のInstallerを起動し対象ボリュームを指定してインストールする.このときにカスタムインストールとし,Open Transportを必ず指定する.また,日本語表示を可能にしたい場合,WorldScriptII,WorldScript Power Adapter,InputBackSupportを指定しておく.
4.インストールされたSystemを起動ディスクにコピーするなどして起動し設定を行う.また,日本語表示できるように対応する.
●System7.5.3英語Systemでの日本語表示の方法
ScriptSwitcher,日本語スクリプト,ことえりなど日本語入力システム,Osakaなどの日本語フォント他フォント機能拡張など日本語使用に必要なファイル類をあらかじめ用意しておく.日本語スクリプトは,英語Systemで起動した状態で漢字TalkのSystemスーツケースを開くと取り出すことができる.
1.WorldScriptII,WorldScript Power Adapter,InputBackSupportの入った英語SystemのSystemスーツケースに日本語スクリプト,Control PanelsにScriptSwitcher,Extensionsにことえりなど日本語入力システム他,Fontsに日本語フォントを入れ起動する.
2.ScriptSwitcherを開き,Japaneseを指定し,再起動しViewsで日本語フォントを指定する.
漢字TalkへのSystem7.5Update2.0のインストールは不可能ではないがここでは方法は記載しない.
●AutoDoubler,CopyDoublerの問題
System7.5.2ではCopyDoubler2.0.5は使用できなかった.そのため,Symantecからパッチが出て,2.0.6となった.(漢字Talk対応日本語表示可能のパッチはまだ出ていない)ところが,System7.5.3では再び使用できない.AutoDoublerはCopyDoublerなしでのコピーでエラーになってしまう.対策としてはCopyDoublerを2.0.4とする方法があるようだが,デザイン室で現在確認中.
この問題についてはCopyDoubler2.0.7へのアップデータが出ました.
ftp://ftp.symantec.com//public/mac/doubler/CD207.sea.bin
(この部分5/8に追加)
Open Transportのアップデート方法
Open Transport 1.1 b 16 またはOpen Transport J1-1.1に加え,
漢字Talk7.5.2アップデート,LaserWriter8.3.2Jのペア
かまたは
7.5.2 Printing Update 1.1及びEthernet (Built-In)1.0.2のペア
をあらかじめ用意しておく.
英語と日本語の違いをのぞけば漢字Talk7.5.2アップデート,LaserWriter8.3.2Jと7.5.2 Printing Update 1.1,Ethernet (Built-In)1.0.2との間の違いはWorldScriptII,WorldScript Power AdapterとLaserWriter8.3.2以外のプリンタドライバ,デスクトッププリンタが前者にあって,後者にない点であるので,プリンタドライバが必要でない場合は後者でも十分対応できる.WorldScriptII,WorldScript Power Adapterは7200,7500,8500には同じバージョンがすでに入っているので必要ない.(9500は確認した1台は同じバージョンであった)
ただし,Open Transport各バージョン間に互換はないのでバージョンを統一する必要がある.Open Transport J1-1.1は漢字Talk7.5.2アップデート,LaserWriter8.3.2Jとセットで,Open Transport1.1b16は7.5.2 Printing Update 1.1とEthernet (Built-In)1.0.2とセットでアップデートする.
・インストール前にシステムフォルダのバックアップを取っておく.
(インストーラはSystemスーツケースを書き換えるので注意のこと.バックアップがなければ,Open Transport1.1の異常が発生しても,Systemを書き換えてもとに戻すことができない人はシステム再インストールになる)
・インストールする前に全てのOpen Transport,MacTCPなど関連ファイルを外し,さらに念のため,インストーラでCustom Removeを実行する.初期設定中のprefやセレクタも外すことを忘れないように.ただし,インストーラではShared Library Managerがインストールされないことがあるようなのでこれは残しておく.インストール後Open Transportが走っていないというアラートが出る場合はShared Library Managerが入っているかどうか確認して欲しい.
インストール後に爆弾が出る場合は,PRAMクリアで対処できる.
ここで書かれた注意(あらかじめインストールする前に全てのOpen Transport,MacTCPなど関連ファイルを外す)をせずにインストールした場合にMacTCPに戻そうとしてできないケースはそれらファイルがそのまま残ってかつ,invisibe特性に書き替えられるためである.
●TCP/IPの設定方法
例として私の設定を示す.
検索ドメイン名(Search domains)は入力の必要はない. TCP/IPコントロールパネルを閉じたら再起動なしにそのままネットワークアプリケーションを使用できる.
また,TCP/IPコントロールパネルを表示した状態でメニューの編集/利用者モード...で「詳しい情報も指定」とし,そこで変化したコントロールパネル右下に現れるオプションをクリックして出てくるダイアログで「必要なときにのみにロード」にチェックが入っていることを確認して欲しい.ここにチェックがない場合,TCP/IP接続を要するアプリケーションを起ちあげた後終了しても確保されたメモリ領域が解放されない.
なお,設定については「研究・教育環境が変わる!Macintoshネットワーク 」の 該当部分も参照いただきたい.また,ここでの設定方法は専用回線への直結での方法であるので,動的にIPアドレスを割り当てられるようなPPP接続には当てはまらないので注意していただき,プロバイダーなどから周知されるべき設定方法に従っていただきたい.
MacTCPの使用方法
事前に設定されていないMacTCP2.0.6を入手しておく必要がある.
PRAMクリアして起動した状態にしておく.
1.コントロールパネルからTCP/IPを外しMacTCP2.0.6を入れる.
2.機能拡張からOpen Tpt Internet LibraryとOpenTptInternetLibを外す.
3.再起動後PRAMクリアを行い,shiftキーを押したまま起動しデスクトップ再構築を行う.(shiftキーによるデスクトップ再構築は文字化けするので最初に出てくるダイアログのデフォルトのボタンをクリックすればよい.これによってSimple Text関連ファイルのアイコンが2値になる場合,起動ボリュームにSimple Textを入れてデスクトップ再構築を再度行う.shiftによる起動は必要ない.)
デスクトップ再構築終了後メニューの右端のプルダウンメニューの下から3番目の項目を選択して再起動する.
4.MacTCPを開き設定する.
これらの作業後Network関連のアプリケーションの動作確認をする.仮想記憶が切られていることも確認する.もし,動作不良がある場合はPRAMクリアをもう一度行う.
System構築の際に漢字Talk7.5.2アップデート,LaserWriter8.3.2Jかまたは7.5.2 Printing Update 1.1及びEthernet (Built-In)1.0.2をインストールすること.
使用上の注意
・Open Transport,Networkの設定の異なるシステムを切り替えて使用しないシステムの切り替え(起動ディスクの変更,例えば緊急用起動 Floppy diskからの起動も含む)はできるだけさける.やむを得ず切り替えるときは必ずPRAMクリアを行う・仮想記憶を使用しない
なお,PCI-Macでの緊急用 Floppy diskの作成方法はまたの機会とさせていただく.
ハードディスクドライバの問題
ハードディスクは純正の内蔵されていたものは問題ない.(ただし,ライトキャッシュとデータ消失の可能性の問題がある.これはPCI-Mac特有の問題ではなくMacintosh全体の問題である.この問題についての情報,対策については Macintoshニュース 3/17,4/11付けの記事を参照されたい)
外付けのハードディスクを接続して使用する場合や内蔵ハードディスクを取り替える場合にはハードディスクドライバが漢字Talk7.5.2(またはSystem7.5.2)対応になっていることを確認する必要がある.もしも対応していないバージョンの場合は対応ドライバに更新する.
主要なハードディスクドライバの対応バージョンについては「漢字Talk7.5.2(とPCI-Mac)の問題点と注意点」旧バージョンを参照されたい.
SpeedDoubler1.0.1の問題
SpeedDoublerの問題に関しては「漢字Talk7.5.2(とPCI-Mac)の問題点と注意点」旧バージョンを参照されたい.
そこに記載された後にSpeedDoublerは1.1.2にアップデートされた.
現在,デザイン室ではPowerMacintoshにSpeedDoubler1.1のうちSpeed EmulatorとSpeed Accessを使用し,SpeedCopyは外して使用している.Speed Accessはメモリ搭載が多くないと意味があまりない.問題が起きる場合は当然外さなければならない.
System 7.5.3インストール機種はSpeedDoublerなしでも速さはあまり変わらないので使用していない.問題が起きる機種についてはSystem 7.5.3を使用するのが一つの方法である.(System7.5.3でもSpeedDoublerが速いという報告もある.デザイン室ではほとんどネイティブのアプリケーションを使用しているのでOS場面での速さに変化を感じないということであろう)
初期7200/90のEtherポート不良製造ロット
7200/90の初期に出荷された製造番号xx543xxxxxxxかそれ以下のもののEtherポートに不良があるものが含まれている.
大量のパケットを要するUNIXやLotus Noteサーバ間でのファイルの転送やリピータを介したネットワークプリントでタイムアウト,ハング,パフォーマンスの低下といった症状を呈する.これらの症状は初期Open Transportに見られたものと類似の症状であるため,症状からは特定しにくい.
商品外箱に貼ってあるシリアルナンバーの記載されているラベルの右下角に『+』が ついているものは上記該当ナンバーでも対策されたロジックボードが装着されているのでこの範囲ではない.
対策されているもののロジックボードでの見分け方はロジックボードのG1に20MHzの発振子がついているかどうか確認する.ついていなければ未対策である.
該当する場合,Ethernet上で障害が出ている旨を伝えれば,アップルで無料でロジックボードを交換してくれる.
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