Macintosh トラブルデータベース Archives |
ATOK13:「きかれた」などの変換でのクラッシュ TechTool Pro 2.5.3 日本語版のボリューム再構築の問題 (一部障害の確認) タイム・シンクロナイザに関するハング AirMac のシリアル番号 Mac OS 9:DOS フォーマット時のマイナーバグ POWERBOOK NEWS の iBook トラブル情報 不良 USB マウスについての TIL 日本語訳と原文の比較 ATOK13:使用感 StuffIt Expander 5.5 J [その他] |
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[ 00/2/27]
● ATOK13:「きかれた」などの変換でのクラッシュ
みずしろ氏,小林氏からいただいた. Macintosh 起動後, ATOK13 を用いてインライン変換できるアプリケーション上で「きかれた」「きかれる」などの「聞かれ」+助詞の一段動詞を入力して変換するとアプリケーションが異常終了する.
私も確認できた.異常終了時の表示は Type 2 あるいは Type 11 であったり,表示もなくいきなり終了する場合もある.異常終了を繰り返すうちに Macintosh もフリーズする.
ただし,「きかれた」「きかれる」を変換すると必ず発生するわけでもなく,様々な条件下で発生しない場合がいくつも見られた.私は Finder の変換ウインドウでは起きないが, Finder でも起きるユーザもいるようだ.
次のような方法でとりあえずは回避できるだろう.
「回避法」
よく分からないが,「聞かれ」一段動詞の登録がユーザ辞書にできることから,システム辞書にこの語が登録されていない,あるいはアクセス時に何らかの障害が発生することが原因だろうか.
- 1. Macintosh 起動後,このページの「聞かれ」 をブラウザ上でコピーするか,ことえりなど他の日本語変換プログラムで「聞かれ」を表示させコピーするなど,とにかく何らかの方法で「聞かれ」をコピーし, ATOK13 に切り替える.
2. ATOK13 の単語登録を呼び出し,コピーされた「聞かれ」をペーストして,読みを「きかれ」とし,品詞を「一段動詞」として単語登録し,ユーザ辞書に持たせる.
追記:
ジャストシステムによれば,ユーザ辞書に登録しても発生する場合があるようだ.私や私が聞いた範囲のユーザはとりあえず上記の方法で回避できている. Mac OS 8.6 でも発生するようだ.原因等ジャストシステムで調査中である.
● TechTool Pro 2.5.3 日本語版のボリューム再構築の問題 (一部障害の確認)
99/12/3 項目 "注意:TechTool Pro 2.5.3 のディレクトリ再構築機能" ほかで触れた,日本語版 TechTool Pro 2.5.3 のボリューム再構築機能を使用した場合にディレクトリ異常が発生するなどの問題について,システムソフト社から問題の一部についての経過報告をいただいた.
この問題は TechTool Pro 2.5.3 日本語版のボリューム再構築機能を使用すると,場合によっては,適用したボリュームのディレクトリ異常が発生し,ボリュームが認識できない,データが消失するなど重大な障害が発生するというものである.重大な障害はボリューム再構築を行うと必ず起きるわけではないが,私は初期化した MO ディスクに対してボリューム再構築を行うとやや軽度なディレクトリ異常が必ず発生することから TechTool Pro に関わる何らかの原因があるものと判断した.
システムソフト社では私の報告を元に検証を続けているが,初期化した MO ディスクでの問題は現実的には考えにくい状況で起きるもので,私が試した環境がそのような場合であったということが分かった.
「MO での問題」
MO に問題が発生するのは以下の条件を全て満たしている場合である.
128 MB MO に問題は発生しない.また,HDT 2.5.3 でフォーマットした MO は 230/640 MB も含めて問題は全く発生しない.つまり, B'sCrew フォーマット (初期化) の 230/640 MB MO ディスクについて初期化した何もファイルを書き込んでいない状態で問題が発生する.
- ・ MO のフォーマットに B'sCrew を使用している
・230MB と 640MB の MO を HFS 標準フォーマットで使用している
・ MO にフォーマット後まだ何もファイルが入れられていない
原因についてシステムソフト社は次のように推察している.
今回確認された障害については,初期化したディスクに発生するものであり,それこそ私がボリューム再構築機能に問題があると判断した根拠であった.検証の結果,実際には起きる可能性の少ないことであることが分かった.たまたま私が試した状況が現実にはそのような使われ方をするとは考えにくい状況であったということである. (誰がデータの入っていないディスクにボリューム再構築機能を適用するだろうか?)
- ・ B'sCrew でフォーマットした MO を TechTool Pro 2.5.3 が誤った認識で処理している可能性
・マイクロマットが海外で普及していない MO というメディアを認識していない可能性
この問題については,Drive 7 の開発が終了してから現在日本で最新の Mac OS で MO (特に 640MB) に使用できる市販日本語フォーマッタは事実上 B'sCrew だけだという点に留意する必要がある.(近々 HDT がバージョンアップして対応するものと見込まれる) また,現実には考えにくい状況であるとは言え,基本となる状態で障害が発生することはあまりほめられたことではない.
「もう一つの問題」
本問題については MO の問題ともう一つの問題が区別できるようになった.もう一つの問題はより重要であり,こちらはまだ結論が出ていない.ボリュームが認識できなくなる問題についてはシステムソフト社でも継続して検証を続けているが,まれに障害が発生する場合があることまでは確認しているものの確実に特定できていない.
ボリュームのディレクトリ情報が重度に破壊される問題については,私にも発生したりそのようなご報告を皆様からもいただいたので,発生する場合があることは確かであるし,システムソフト社でも確認されている.しかし,それが発生する条件を特定できない.
私もその後何度か試してみたのだが,ハードウェアやソフトウェアが同一条件であると思われる環境で重大な障害を再現できない場合がある.私が障害が発生した状態を作り出した手順などから考えてみて,これは全く私の個人的な推測に過ぎないのだが,次のような可能性がないだろうかと思っている.
重大な障害は Norton Utilities を併用しいてる環境で起きる場合があるのではないだろうか.
(あくまでも可能性の指摘である.断定する根拠はない)
これは, Norton Utilities がシステムフォルダに加える各種機能拡張とのコンフリクトというわけではない.私はそれらを一切システムフォルダ内に置いていない.こういうことだ.既存のボリュームに対して Norton Disk Doctor あるいは Speed Disk を適用しているような場合に,さらに TechTool Pro のボリューム再構築を適用すると何らかの問題が発生する可能性はないだろうか.
私は Norton Disk Doctor のディレクトリ修復はとても危険であると思っていて自分のディスクに施すなどということはとんでもないことだと思っている.(このことが初耳の方はぜひ見習っていただきたい.このことは TechTool Pro のディレクトリ修復でも同じ事である.) しかし, Speed Disk はたまに使うし, Norton Disk Doctor のファイル作成日と修正日の矛盾報告については修復させる場合がある.(蛇足だが, Norton Disk Doctor のアイコンに関する報告と修復は信用できない)
この Norton Disk Doctor か Speed Disk の処理のルーチンが TechTool Pro のディレクトリ修復と相性がある可能性も考えられなくもない.このように考えると, TechTool Pro で障害が再現できないことの説明もつく.また,実際の障害事例がすべて使い込んだディスクについて起きていることとも符合する.
私が Norton Utilities との関連を疑うのは状況がたまたまそうだということと,かつて Alsoft との間で起きた論争のことがあるからである.かつて, Alsoft の DiskWarrior が発表された直後に,Norton Utilities のSpeed Disk で最適化したボリュームについて, DiskWarrior が異常を報告するということがあった.そのことが論争に発展し,両社とも譲らなかったが,結局 Norton Utilities がアップデートしてこの問題は起きなくなり,そのままとなっている.このようなこともあるのだ.
システムソフト社は現在次の可能性も探っている.
・ MO などにバンドルされている B'sCrew との問題
・ローカライズ上の問題
- バンドルなどで供給されている B'sCrew のドライバや機能拡張について,これらが OS に割り込んでいて 2.5.3 との間で不具合を起こす原因となる可能性
前者について,私は B'sCrew の簡易版を全く使用したことがない.さらに,フルバージョンの B'sCrew についても機能拡張類は一切使用していない.また,今回ボリュームが認識されなくなるという問題の起きたハードディスクと B'sCrew とは無関係であった.(ドライブ設定で初期化した内蔵ディスクで発生した.また,そのときには他のドライバで初期化されたようなボリュームは接続されていなかった.)
- 今回の現象は日本でしか報告されていない.そのため,日本語版へのローカライズに問題があった可能性.
今回の障害確認についてはシステムソフト社ページでも公表予定である.
参照:
99/12/3 項目 "TechTool Pro 2.5.3 アップデータ"
99/12/3 項目 "注意:TechTool Pro 2.5.3 のディレクトリ再構築機能"
99/12/6 項目 "警告:TechTool Pro 2.5.3 のディレクトリ再構築機能 (継続)"
99/12/10 項目 "TechTool Pro 2.5.3 のディレクトリ再構築の問題 (継続):システムソフトからの情報"
●タイム・シンクロナイザに関するハング
"日付 & 時刻" コントロールパネルで 1963 年かそれ以前に西暦を設定した場合,「ネットワーク・タイムサーバを使用する」機能の「サーバオプション...」から「手動で設定」すると Macintosh がタイム・シンクロナイザ処理中にハングする.
もし,ハングした場合, "タイム・シンクロナイザ" (機能拡張のプログラム) を強制終了し,さらに "日付 & 時刻" コントロールパネルを強制終了してから,再び "日付 & 時刻" コントロールパネルを開いて正しい日付を設定し直す.
● AirMac のシリアル番号
AirMacのユーザー登録に注意が必要 (日経 Mac 記事)
AirMac の外箱と本体のシリアル番号が異なっており,本体のものが正しいという記事.
● Mac OS 9:DOS フォーマット時のマイナーバグ
匿名氏からお知らせいただいた.12 バイト以上のボリューム名のついた Mac OS フォーマットのフロッピーなどのディスクをフォーマットしようとすると,アラートダイアログで OK ボタンが完全に表示されない.
Mac OS 9 では DOS フォーマットボリューム名称に11 バイト (欧文 11 文字) までしか使用できないため,12 バイト以上の名称をつけようとするとアラートダイアログが表示される.フォーマット画面で名称を 12 バイト以上にしようした場合はアラートダイアログに OK ボタンが表示されるのだが,すでにディスクが Mac OS フォーマットの場合で 12 バイト以上の名称がつけられているとアラートダイアログの OK ボタンが完全に表示されないため,マウスでクリックしようとしてもクリックできない.また,OK ボタンが視認しにくいためそこからどうしていいかわからなくなる.
そのようになった場合の回避法はキーボードのリターンキーを押すなど.
このような事態に陥らないために,匿名氏は, 12 バイト以上の名称にしないことか,アラートダイアログにボタンが表示されるように ResEdit を用いてダイアログを拡張することを提案なさっている. ( System スーツケース'ALRT' の '-6078' )
● POWERBOOK NEWS の iBook トラブル情報
POWERBOOK NEWS は 2/24 付けで,以下の記事を公開した.
「iBookの作業環境マネージャでトラブル」
●不良 USB マウスについての TIL 日本語訳と原文の比較
- 作業環境マネージャのリモートアクセスの切り替えの設定が有効にならないトラブルがあり,アップルも確認しているというもの.
Apple 純正 USB マウスが一方向にしか動かない.マシンがフリーズするという問題は Apple 純正 USB マウスのファームウェアが Macintosh の USB 回路の過電流を吸収できないことから起きた.この問題は 99/11/24 項目 " USB マウスのファームウェア問題: Blue & White G3,iMac でも出荷" などで伝えたとおりである.
Apple はこの問題についてTIL: 25066 で 交換のために Apple に連絡を取るようにと書いている.ところが,日本語訳の 25066JC はその部分が「交換が必要です」としか書かれていない.
皆様からの本問題に関してのご報告では国内でも交換に応じていると思われる.
● ATOK13:使用感
ATOK13 が発売になり,私は ATOK を主として使っていて,発売当日に入手できたので早速使ってみた.
「インストール」
インストールする前にマニュアルと「ATOK13 for Macintosh」CD-ROM 内の「お読みください」「ATOK13をインストールする前に」の記載を参照すること.また, CD-ROM の「ジャストシステム」フォルダには「ATOK13ファイル構成」というファイルがあり,事前にどのようなファイルがインストールされるか知ることができるが,テキストエンコーディングのバージョンは記載されいてない.
「お読みください」によれば, ATOK13 はテキストエンコーディング1.4 以上に対応しているとあり,それ以前のテキストエンコーディングは書き換えられるものと思われるが私自身はそれ以降のバージョンであったので未確認である.テキストエンコーディングのバージョンについては Internet Explorer などが古いバージョンに書き換えるといったことがあり,常に注意を払う必要がある.「ATOK13をインストールする前に」にはテキストエンコーディングがないとインストールできないことなどが詳しく述べられている.
私はインストール専用の最小限のシステムから起動してインストールしてみた.当然最小限なので "Text Encoding Converter" 機能拡張などテキストエンコーディング関連ファイルのない状態であるのだが,この状態ではインストールを拒否されてしまった.「ATOK13をインストールする前に」に記載されているとおりである.インストールにはテキストエンコーディング関連ファイルが最小限入っていなくてはならない.
インストーラは任意のボリュームを選択できず起動システムフォルダにしかインストールできない.また,インストール後は再起動しか選択できない.インストール時には全てのアプリケーション等を終了させてから行うこと.
私はアプリケーションほかのインストールでは,書き換えが心配なのとどのようなファイルがインストールされるか把握するために,必ず別システムにインストールする.しかし, Mac OS 9 で試した範囲では,テキストエンコーディングも含め既存のシステムファイル等の書き換えや削除は起きなかった.また ATOK 12 までよくあったインストール時やインストール直後のハング,フリーズは何度かインストールしてみたが起きなかった.バックアップをとった上で,毎日使っているシステムから起動してインストールしても問題ないだろう.簡易インストールされる ATOK 関連ファイルは 45 MB 少々ある.
ATOK 12 と比較して注意すべきことはユーザ辞書のインストール場所が変更になり,初期設定フォルダの「ATOK13」フォルダに置かれることである.ことえりや EGBRIDGE の最近のものも初期設定フォルダにユーザ辞書等を置くようになっているが,それらに合わせたものだろうか.私は重要なファイルを初期設定に置くことには疑問を持っている.初期設定フォルダに入っているものはユーザが捨てることがあり,誤って捨てやすい.捨てていいものと捨ててはいけないものをいちいち憶えておかなければならないのだが,そのようなものが増えてくると頭が痛い.ただし,それら辞書は後でユーザが任意の場所に置くこともできる.
- 注意:
小林氏から英語版 Text Encoding Converter がインストールされている場合は 1.5 であっても ATOK13 は日本語版テキストエンコーディング関連ファイルをインストールするとお知らせいただいた.
その「ATOK13」フォルダなのだが,機能拡張フォルダにも「ATOK13」という同一名称のフォルダが作成される.このようなことは混乱や誤操作による事故の元である.ぜひ一考していただきたい.( EGBRIDGE は名称を異なったものとしている)
「環境の継承」
これまで使用していた ATOK 12 の辞書や環境設定からの移行は大変スムーズでありあっけないほど簡単に終わった.環境設定はいちいち設定するには大変なくらいの設定事項があるので正しく全ての設定が継承されるのは大変ありがたい.ただし,新機能の設定 (推測変換など) はメーカー設定の状態であるのでユーザは確認した方がいいだろう.設定すべき項目についてはバルーンヘルプが使えるので参照しながら行ってもよい.
私は確認のために ATOK 12 の環境設定のスクリーンショットを撮って比較してみた.おおむね問題ないものと思われるが,「後変換候補の追加」に関して, ATOK 12 のときの設定とは異なっている部分があった.
辞書の継承については辞書ユーティリティの「辞書合併」を用いた.(「合併」という語は複数のものが一つになることであるが,実際には以前の辞書も手つかずのまま残される.あまり適切な用語ではない.) 継承自体は全く問題なく,大変良好である.しかし,辞書継承時の辞書指定方法が煩雑で分かりにくい.辞書指定の方法は継承時だけでなく,他の場面でも同様であり,改めた方がよいだろう.
「新機能」
ATOK13 には次の新機能がある.「推測変換機能,省入力機能」「同音語選択支援機能」「てがきATOK」「カタカナ語英語辞書」「AI辞書トレーナー」「再変換機能」「URLトリガー変換」など.
「変換精度」
- 1.「推測変換機能,省入力機能」
これは良い.最初は煩わしく思えたが,すぐに便利さが分かった.同じフレーズを何度も入力するような場合には有効である.私は環境設定の「推測変換の表示頻度」を「高」にした.
2.「同音語選択支援機能」
これは例えば「追求」と「追及」の意味の違いなどを変換中に表示する機能である. EGBRIDGE にはすでに搭載されている機能である.記述をいくつか比較したが,試した範囲では EGBRIDGE の記述の方が違いを明確にしているように思えた.しかし, EGBRIDGE は同音語を一覧して表示しないが, ATOK はまとめて表示され比較しながら意味の違いを知ることができるため,全体としては ATOK13 の方が理解しやすい.
ATOK13 で表示されるサブウインドウは色つきのために Mac OS で使うには違和感があり,センスが悪い. EGBRIDGE がよい.(私は Mac OS 9 のアラートウインドウの色にも文句を言う人間である)
3.「てがきATOK」
話題となっているものだが,あまり使用頻度は高くない.これまでの部首による検索は操作も複雑で気軽に利用できるようなものではなかったので,大幅に改良されたとは思う.認識精度は驚くほど良好である.通常のウインドウ表示もあるが,皆様にはぜひ「全画面表示」を体験されたい.
4.「カタカナ語英語辞書」
私のように英単語交じりの文章を書く場合,辞書に日本語入力モードでそのままスペルを入力した読みで英単語を登録しておき,和文入力モードから英単語のスペルのまま全角入力して変換するようにすると入力効率が著しく高くなる.私はそのようにして必要な英単語を登録していたので,今回のカタカナを英単語に変換することの意義があまり理解できない.
しかし,だからといってこの機能が無意味になるわけではない.私はこの機能がスペルを確認するときに大変便利であることが分かった.これまではいちいち辞書アプリケーションを立ち上げたり切り替えたりする必要があったのだが,その頻度がこの機能によって少なくなるだろう.
5.「AI辞書トレーナー」
これは,ユーザが指定したファイルを解析して,そのファイルに使われている用語を辞書に自動登録してくれる機能である.これが大変良い.上手に登録してくれる.これまでこつこつ登録してきたのが徒労に思えるくらいだった.もっと早くからこの機能があれば良かったのにと思ったものだ.
ただし,解析,登録にはとてつもなく時間がかかる.コンピュータがアイドル状態のときに行った方がいいだろう.
6.「再変換機能」
ことえりや EGBRIDGE ではいくつか前のバージョンですでに実現していた機能であり,目新しいものではない.あまり使ったことのない機能であるので,この機能について評価するだけの経験が私にはない.
7.その他
入力中の語から Sherlock を起動して検索する機能はパレットを表示していなくてはできず,私のようにパレットを表示しないユーザには使うことができない.使えたとしても実際に有効なものかどうか疑問である.漢和辞典などを参照するような機能だといいと思うのだが.
「URLトリガー変換」も何の役に立つのかよく分からない.よく知られた会社や団体などの URL をこの機能から知ることができるなどの使い方もあるだろうが,そのような URL をいちいち変換して求めるより,自分で適当に推測しながらブラウザの URL ウインドウに直接入力した方がよっぽど早い.
今回からパレットの色を替えることができるなどの機能が加わっている.インターネットのメールやチャットなどの話し言葉に対応すべく,話し言葉の変換効率を向上したそうであり,それなりの効果も認めることができる.しかし,話し言葉の変換やパレットの色,はたまた顔文字辞書の搭載などということが本格的な日本語変換プログラムの能力を判定する主要な基準になるような時代は世も末だ. Macintosh とて同様だ.
新しい機能は盛りだくさんだが,結局,日本語変換プログラムは変換効率が命である. ATOK13 の変換精度は ATOK 12 に比較してだいぶよくなっている.そのまま変換しても感じることはできなかったが,同じ文章を ATOK 12 で変換させて比較するとすぐに分かるほど差がはっきりしていた.
他の日本語入力変換プログラムと変換精度はどうであろうか.すでに発売されている EGBRIDGE 11,ことえり 2.3.3 と比較してみた.ユーザ辞書なしの状態での数百字程度の比較であるが,ことえりは劣っていた.それと比べると差は少ないが ATOK13 と EGBRIDGE 11 にも差があり,明らかに EGBRIDGE が優れていた.
後で書くが,ユーザ辞書の登録に関して ATOK は EGBRIDGE より優れている.日本語変換効率は単に変換精度だけで決まるものではない.
ATOK13 ではたまに登録した覚えのない変換が出ることを経験した.ユーザ辞書を調べても自動学習語も含め,そのような登録はされていない.再現できるのでまちがいはない.
マシンの処理能力が高くなった昨今,変換速度について問題にすることはほとんどないだろう.私も何年か前のマシンを日常使っていないので変換速度についてどうこう言う場面はない.最近のプログラムを古いマシンで使用する場合,処理能力よりもプログラムの容量が (今では入手困難な種類の) 搭載ハードディスク容量を圧迫することの方が現実問題だ.
「EGBRIDGE との比較」
変換効率そのほか,日本語変換プログラムとしてATOK13 と EGBRIDGE とはどちらが優れているだろうか.私は日本語変換プログラムを評価する際の重要ポイントは変換精度,辞書登録能力,キー操作法であると思っている.
日本語変換プログラムは ATOK と EGBRIDGE だけではない.WXG や MacVJE のユーザもいるだろうし, KATANA とかのユーザもいるかもしれない. Virtual PC や SoftWindows 上の MSIE が最も優れいているというユーザもいるだろう.しかし,私がある程度使ったことのあるものは ATOK と EGBRIDGE なので,その範囲で書いてみたい.
すでに述べたとおり,変換精度は EGBRIDGE 11 が優れている.この見解に同意できない ATOK ユーザが多いことは知っているつもりだ.変換精度を判定する標準的な試験があり,ジャストシステムが十分な自信があるのもその試験の結果であるとも思う.しかし,現時点で私は見解を変えることはない.私は学生の前で実際に変換精度を比較してみたが,学生も明確な差があることを知って驚いていた.変換精度を判定する標準的な試験法は私の環境には適合していないと言うほかはない.
しかし,変換精度が優れているからといって,変換効率が優れていることにはならない.私が「変換効率」と「変換精度」という語を使い分けていることに留意されたい.変換効率は変換精度だけで決まるものではないのだ.
ATOK13 は EGBRIDGE に比較してユーザ辞書に登録できる文字,記号の許容範囲が広い.以前の EGBRIDGE ができなかった欧文の「 l 」や「x」 で始まる語の登録は EGBRIDGE でも一部改善されているが,まだ登録できない場合があり, ATOK13 が優れている.
また, ATOK が「半角全角変換設定」で詳細に設定できたり,簡単に切り替えたりできるのは,欧文と和文を混在して入力するようなユーザには決定的に EGBRIDGE に優越すると判断できる点である.
キー操作に関しては私はよく分からない.好みや慣れの問題だと思う.私は ATOK8 からのユーザであり,そのキー操作に慣れているので,それが使えれば文句はない.ATOK13 ではいくつかのキーコンビネーションが変更されているが,それまでの設定もほぼそのとおり継続して使用できる.キー操作については日本語変換プログラムがどうこういうレベルではなく,マシンごとに異なるキー配列, JIS 配列 などの方がより問題である.さらに言うならば,これまで何度か書いたが,私はニコラ配列の頑迷な支持者である.
他の周辺機能では EGBRIDGE とは一長一短である. EGBRIDGE の類義語変換はアルツハイマーではないかと自分でも疑うようなこのごろ (うそですが) 思い出せない表現を見つけてくれる.しかし ATOK13 に今回搭載された推測変換は優れている.変換効率が良くなるのが目に見えるような気がしている
私は ATOK13 と EGBRIDGE 11 のどちらがいいとは言いづらい.私はひとつの変換プログラムだけを使う時代ではなくなるかもしれないと書いたことがある. ATOK, EGBRIDGE それぞれに個性のようなもの,得意不得意があるように思える.
EGBRIDGE は類義語変換や同音語の意味表示,学年別漢字制限、専門辞書の充実など,どちらかというと,特定の専門分野や国語の分野について文章を推敲しながらじっくり書き物をするようなユーザに向いていると思う.それに対して ATOK は高速に大量の文章や英単語交じりの文章などをよどみなく入力するような使われ方が得意である.
こうした日本語変換プログラムのそれぞれの特徴を生かして使い分けるという方法はどうだろうか.現に私はそうしている.
「[きかれた]変換でのクラッシュ」
本日の別項目を参照いただきたい.
「環境設定での問題」
ATOK13 インストール後,私は環境設定で問題にあった.一般的に起きるかどうかはわからないが,原因がつかめない.
環境設定の「辞書・学習」において辞書セットの名称や構成を変更してウインドウを閉じたり,変更途中でキャンセルするとハングしたり Finder がリセットされてそのままフリーズする場合がある.また,環境設定でタブを切り替えたときに表示が一瞬遅れる.特に「入力・変換2」タブ表示に時間がかかる.
これらは最小限のシステムでは発生しないので,何らかのシステムファイルとの問題であると思われるが,十分な時間もないので相手が特定できなかった.コントロールパネル,機能拡張などを順番に外していったり, System , Finder を取り替えたりしてみたが分からない.
(何度かのハングを経験しながら設定できた後には辞書指定等でのハングは起きなくなっている)
「FinderPop 1.8.4 の問題」
FinderPop 1.8.4 (日本語版も含め) には日本語変換プログラムとの問題があり, FinderPop を使用している場合には,日本語変換プログラムのパレット等が表示されないほか,環境設定などのダイアログでの表示に異常が発生することが知られている. ATOK13 でもその症状が発生するが,これらは FinderPop の側での問題である.
「総合評価」
- 補足する.このような問題が起きるのは FinderPop 1.8.4 の動作設定で「FinderPopの階層アップルメニュー機能を使用する」にチェックを入れている場合である. ここのチェックを外すことで回避できる.(高橋氏からご指摘いただいた.)
ATOK13 は変換精度が向上し,いくつか変換効率を向上できる新機能が搭載された. ATOK は 8 で Macintosh に登場した当初,その驚異的な変換効率の一方で Macintosh との相性についていろいろ問題が指摘されたものであるが,今日では Macintosh でも全く違和感なく使える馴染みやすいプログラムとなった.特に ATOK12 で ATOK は大変完成されたプログラムとなったという印象を持っている.ジャストシステムでは Macintosh ユーザの声もよく聞く体制が整っており,今回の CD-ROM にもそうしたユーザの声への配慮の姿勢がよく現れるファイルが入れられている.
今回のアップデートではより使いやすさが増したと思うが, ATOK12 に比較して目の覚めるような機能が搭載されたわけではない.(それだけ ATOK12 が優れていたとも言える) しかし,私は ATOK13 の諸機能や変換精度の向上は ATOK12 からのアップデート料金以上の価値が十分にあると思える. 特に「推測変換機能,省入力機能」は高速に大量の文章を作成するユーザにはメリットがある.
「環境設定での問題」は最小限のシステム構成では現れないものなので,何らかの非互換プログラムがあるものと考えられる.普段の入力などは全く安定しているように思える.
● StuffIt Expander 5.5 J
[その他]
00/2/24 項目 "FireWire ボリュームからの起動" において紹介した TIL が変更され,当初発表された対応機種の記述が改められた.当初, Power Mac G4 (PCI Graphics) 全機種, iMac DV , PowerBook (FireWire) が対応となっていたが, Power Mac G4 (PCI Graphics) の一部と iMac DV は非対応であるらしく,記述が改められ,削除されている.(吉田氏からお知らせいただいた.)
(C) Akiyama Satoru