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Mac OS 8.6 のインストール
Mac OS 8.6 : HDT 3.0.1 までの全ての Hard Disk ToolKit ドライバと非互換
Mac OS 8.6 :インストーラデコード時の -39 エラー
Mac OS 8.6 :Text Encoding Converter
Mac OS 8.6 :Keyspan USB カードとの非互換
Mac OS 8.5 を振り返る(その1) Mac OS 8.5/8.6 の位置づけ
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[ 99/5/12]



● Mac OS 8.6 のインストール


Mac OS 8.5 を CD-ROM からクリーンインストールしたシステムに上書きインストールすることを推奨する.私は日本語版をまだ未入手であるので, Mac OS 8.6 日本語版が Mac OS 8.5 アップデート, Mac OS 8.5.1 アップデートを含むかどうか分からない.もし含まないのであれば, Mac OS 8.5 にそれらをアップデートした Mac OS 8.5.1 にアップデートすることになるだろう.特に Mac OS 8. 5 アップデートを忘れないようにしたい.

英語版,日本語版ともにシステムに Apple 社以外が作成したパッチを当てた場合,正常にアップデートできない場合がある.また,システムフォルダのある階層に正しくApple エクストラほかのフォルダが位置していることや Sherlock などはアップルメニューフォルダに位置していることが望ましい.

ほかの注意は以下のファイルに書いたことと変わらないだろう.

システムアップデートの一般的注意 2nd ed


Mac OS 8.6 は英語版を家内が入手し,アップデートしたが特に問題なくアップデートできているようだ.( 一部ファイルが入らないと言っている ) 若干動作が速くなっているかも知れない.



● Mac OS 8.6 : HDT 3.0.1 までの全ての Hard Disk ToolKit ドライバと非互換


Apple は Mac OS 8.6 と Hard Disk ToolKit 3.0.1 とが非互換であると警告している

Apple によれば, Hard Disk ToolKit で起動ボリュームをフォーマットしたり,起動ボリュームのアップデートを行ってはいけないそうだ.起動ボリュームと書いてあるが,そうでないものに使えるかどうかは不明.

HDT 3.0.2 は対応しているそうだ.

Drive Setup は 1.7.2 で特に新しくなっていない. Disk First Aid は 8.5.2 にバージョンが上がっている.

追記:
Hard Disk ToolKit 日本語版の最新バージョンは 2.5.3 (同 PE は 2.5),英語版は 3.0.2 である.森田氏と近田氏から情報をいただいた.



● Mac OS 8.6 :インストーラデコード時の -39 エラー


US 版のインストーラはデコード時に -39 エラーが出てしまい,復元できない場合が多数起きている. Apple によれば,一部ファイルが壊れていたことが判明したため,米国時間の 5/10 の午後になって正しいファイルに置き換えたそうだ.

私の場合, StuffIt Expander ではうまく復元できなかった.MacBinary II+を使うと同様のエラーは出るがインストールは可能であった.(一部インストールされないものがあると使用者は言っている)



● Mac OS 8.6 :Text Encoding Converter


Apple はいくつかの技術文書で Mac OS 8.6 では Text Encoding Converter はシステムファイルとして統合されたとしているが,これは誤りである. Text Encoding Converter は機能拡張として 1.4.3 バージョンがインストールされ,その機能拡張を外すと問題が発生する場合がある. Apple も技術文書の記述の誤りを認めた.

追記:
Apple は再訂正し, Text Encoding Converter は統合されているのが正しいとした.機能拡張は互換のためだそうだ.



● Mac OS 8.6 :Keyspan USB カードとの非互換


Mac OS 8.6 で Keyspan USB カードを使用すると,"Not enough power to operate the unknown device" というアラートが出て使用できないという報告が入っている.

追記:
MacFixIt 99.5.11 にも同様の報告がある.5.14 には"there is not sufficient power for XYZ USB device"' というアラートが出ると記述されている.また,問題が出た場合,いったん USB ポートからケーブルを外して再び接続し直すという回避法が述べられている.



● Mac OS 8.5 を振り返る(その1) Mac OS 8.5/8.6 の位置づけ


中国には正史という各王朝の公的な歴史書がある.正史はそこに書かれている王朝が作成するのではなく,その王朝を征服した王朝が作成する慣わしであった. Mac OS 8.6 が発表された今は Mac OS 8.5.x を振り返るよい機会であり, Mac OS 8.6 の位置づけにも役立つだろう.


「 System 7 以降のシステムソフトウェアの位置づけ」


・ System 7

1991 年の System 7 は GUI に立脚した Mac OS を 32bit コンピュータ処理能力の拡大に合わせて新しく作りなおした OS であった.疑似マルチタスク, 4GB メモリ空間,仮想記憶,ファイル共有, QuickTime などの機能を伴って現れた.現在までの Mac OS は全てこの延長上にあり, Mac OS 8.5 も例外ではない.


・ System 7.1.2

System 7 の路線でのこれまでの最大の変化は, CPU が RISC 形式の Power PC に変更された製品に対応する System 7.1.2 (1994 年)であったと思う.このバージョンは PPC Macintosh 上でそれまでの 68k Macintosh 用ソフトウェアをエミュレーション動作させるものという画期的方法をとったもので, Macintosh ユーザをつなぎ止めておくためには多大の貢献があった.

しかし,一方で PowerMacintosh でのエミュレーション環境は一応は動作したものの, Power PC の能力を十分生かすことができず,逆に足を引っ張ることとなり, Macintosh は遅いという評価が常につきまとうことになる.また,エミュレーションの未完成な部分による Type 11 エラーの頻発は目を覆いたくなるものがあった.
( Type 11 エラーの真相については Type 11 エラーに記述している)

つまり, System 7.1.2 はこうして屋上屋,つぎはぎを重ねる Mac OS の歴史の始まりを象徴的に示す出来事であった.このときに 68k 用と PPC 用とを明確に分離する方法を採っていれば, Macintosh の歴史はまた違った歩みになったかも知れない.エミュレーション方式はシステムソフトウェアの大部分を 68k コードのまま放置するという結果を生むことにもなってしまった. 68k 用システムソフトウェアとしては System 7.5.1 がほぼ完成したものであったと思う.


・ System 7.5.2

ハードウェアの変化に伴うものとしては System 7.5.2 の変化も大きかった.このバージョンは Open Transport という新しいネットワークソフトウェアを含んでいたが,その不具合のため,この OS は System 7 以降の Mac OS の歴史の中で最も惨憺たるものとなった.ハードウェアやインターネットなどの新しい環境とそれまでの遺産を受け継ぎながら調停していくという System 7.1.2 で示された方向の綻びが露呈した最初の出来事であった.

Macintosh が実現しようとした世界の外でインターネットなどさまざまな新しい環境が出現した. Macintosh はそれ自体では閉じたながら統合された整合するシステムを構築しようとしていた.しかし, Macintosh のそれまでのシステムに外の新しい環境を取り入れたり,コンピュータ技術の予想もしない発達の早さに追随しなくてはならなくなった.このときに Apple は Copland というコードネームの,当時「 System 8 」とも呼ばれた System 7 を乗り越える新しい OS を構想した.

「 System 8 」が実現すれば, System 7.5.2 のつまずきはそれほど大きい意味を持つものではなかったろう.しかし, Copland はいつまでたっても出てこなかった.Copland が開発されるまで, Apple はなんとか System 7 につぎあてをしながらそうした進歩に追随していかなければならなくなったのだ.そしてそのために, Apple は Macintosh のパーソナルコンピュータとしての理念を熱心に提示し続けるいとまを欠くことになってしまう.


・ System 7.5.3 から 7.5.5

System 7.5.3 から 7.5.5 までのバージョンはそれら綻びを修正するためにいくつものバージョンが出て,私もひとつひとつを明確に思い出せないくらいだ.この時期の OS を低迷していると表現したらしかられるだろうか.この時期にいくつもの新機能が約束され,そのうちのいくつかは実際に実現した.しかし,現在残っているものは果たしていくつあるだろうか.

この時期でも, Apple は,新しいコンピュータの姿を構想し,それを新しいシステムソフトウェアとして実現しようとした.それらが個別に提示されてきたのだが,それ以前に OS の安定性,特にインターネットでの使用の安定性の問題が継続していた.それらの修正に追われ,新しいコンピュータの姿を提示する使命を後回しにし出したように見える.

それらの新しい機能の中には PowerTalk など,大変惜しい機能があった.PowerTalk はコンピュータのネットワーク使用に関して新しい姿を私に示してくれていたのにも関わらずである.私には,この時期の OS から, Copland の停滞によって,将来に渡る OS のビジョンを Apple が明確に描くことができず, Mac OS が方向性を見失っていくように感じられる.

Apple は Copland という新 OS とルートマップを約束していたのだが,延ばしに延ばしたあげく約束は果たされないまま,失敗に終わってしまう.それは経営状態の悪化と相伴っていた.また, Windows 95 発売によるシェアの急激な減少は Mac OS 対応ソフトウェアを開発するベンダーの減少となって現れ,これをくい止めるためにソフトウェア開発者によりよい開発環境を提供するという新しい課題ももたらした.

今だから書けるが,私はこの時期の Apple の OS の将来に深刻な危機感を抱いていた.その危機感は実はまだ消えていない.この時期の問題の本質的な側面は改善されていないままなのだ.


・ Mac OS 7.6

Mac OS 7.6 はそれまでのバージョンのバグをなんとか修正し,一応はまずまず安定した OS となった. System 7.5.2 はこの Mac OS 7.6 であるべきだったのだ.だが,その時点で Mac OS 7.6 に Apple の OS の将来的なビジョンを認めにくかったのであるが,このバージョンからシステムソフトウェアとしての呼称の付け方が変わったことは後で述べるように現在考えると変化を予見したものであったのかも知れない.

Mac OS 7.6 でもうひとつ特筆すべきことがある.それはそれまでずっとサポートされ続けてきたかなり多くの Macintosh で動かないことのある初めてのシステムソフトウェアであったことである.( II, IIx, SE/30, IIcx の 24-bit マシンと Plus, SE, Classic, Portable, LC, PowerBook 100 といった 68000 または 68020 プロセッサを搭載した機種)これも現在になって明確になった方向性の現れであった.


・ Mac OS 8

Jobs 氏が Apple に返り咲いて出された Mac OS 8 ではバージョン名の慣習からすると大きい変化があったように見えるが,システムソフトウェアの中心的な部分での変化はあまりなかった. Mac OS 8.1 ではファイルシステムについて HFS Plus が可能となりむしろ 8.1 の方が変化は大きい.

GUI の重要な部分である Look and Feel は大きい変化を遂げた.また, GUI に関しては Copland で実現されるはずであったいくつかの機能が実現した.ことえりについては変換エンジンについて大きい変化がここから起きていたのであるがその実相が明らかにされるのは Mac OS 8.5 であった.

Mac OS 8 では 68030 プロセッサでの動作を保証しなくなった.Mac OS 7.6 の一部 Macintosh での動作の切り捨ては明確になった.


「 Mac OS 8.5」


こうして登場したのが Mac OS 8.5 であった. Mac OS 8.5 はあくまで System 7 の延長上に位置づけられる.しかし,この OS は Mac OS 8 でバージョン番号が変わった時以上に大きい変化があった.私には System 7.5.2 以来の変化が起きたバージョンであったと思える.また,私には Mac OS の方向性が明確になった(あるいは過去に忘れていた理念に立ち返った)とも感じた.

私の現行 Mac OS についての System 7.5.2 以降の心配はまだほとんど解決されていないが,一部解決の方向へ歩み始めたように見える.

Mac OS 8.5 で計られたことは以下のようであった.

・ PowerPC 専用システム

・ NewWorld アーキテクチャ, Open Firmwareへの対応,起動シーケンスの変更とそれらのための ROM-in-RAM

・ QuickDrawText/Font Manager の変更

・ ATSUI(Apple Type Services for Unicode Imaging) の導入

・ WorldScript ( WorldScript I および WorldScript II )の一部と丸漢サポートのシステム組み込み

・ Sherlock 実装



「 Mac OS 8.5 で Apple が示したもの」


Mac OS 7.6 できざしが見えた次の二つの方向性はここにきて自明となった.

・過去の Macintosh システムでの動作の切り捨て

・ローカライズのない多言語統合システム

Mac OS が低迷していた System 7.5.x の時代,システムソフトウェアが過去の遺産を引きずる中で,新しい機能と葛藤が生じていたことはすでに書いた. System 7.5.x でどうしようもなく行き詰まったように見えたこの問題は Mac OS 7.6 で表面上目立たなくなったが,同時に Mac OS 7.6 が過去の遺産を切り捨て始めたことは新しい歩みを進み始めたことを示していた.いつかは過去の遺産を切り捨てなければならない.それを急激に進めるか,徐々に押し進めていくか,答えが出たのだ.

私としては System 7.1.2 のエミュレーションはそこまでとし,早急に PPC のみ対応のネイティブシステムソフトウェアを開発すべきであったと思う.しかし,今となっては現在の方法によるしかない.これは将来の Mac OS X への道でもあるのだ. Mac OS X の課題はむしろそこにあるのではなく,開発者の Macintosh 離れをどうくい止めながら,モダーン OS を実現するかという点にある.

NewWorld アーキテクチャと ROM-in-RAM は Mac OS 8.5 ではその真の姿を見せていない.これは単に新しい入出力系に対応するものではなく, Copland で実現できなかったモダーン OS としての要件を満たすために構想されたものであると思う.

Mac OS 7.6 での OS の呼称の統一は多言語統合システムの前兆であった. Mac OS 8.5 での shift 起動でも文字化けがないシステムは日本人の待ち望んでいたものであった.多言語統合システムはインターネットによってコミュニケーションの形態が変化してきた世界的な文化のあり方の変化にも対応する.それがいくつかの 2 バイト文字表示の組込みとなって現れている.

各国語版ごとに本質的な差のないシステムソフトウェアは Apple 社の各国語対応開発環境を整備し,ユーザへの利便を提供するが,それは同時にサードパーティの Mac OS 対応アプリケーションのローカライズ版対応を簡素化することになる.

Sherlock 実装において次のことが明確にビジョンとして示された(再び提示された)のではないかと思う.

・ Knowledge Navigator としてのコンピュータ

これは Apple が最初から抱いていたビジョンだ.それが PowerPC 化,PCI 化,インターネット対応といった中で,いつの間にかユーザに忘れられようとしていたことであった.パーソナルコンピュータが単なるインターネット通信マシンになろうとしている現在,パーソナルコンピュータの発想の原点, Apple の原点に立ち返ることに私はなにかしら意味があると思いたい.

この一つの具体化として Sherlock が位置づけられる. Sherlock をふつうの検索ソフトウェアであると理解することもできるだろうが, Apple の OS の歴史を振り返ると, Mac OS 8.5 での Sherlock 実装の意味をよく考える必要がある. Sherlock が単独のアプリケーションでなく,システムソフトウェアに含まれるものとして考えられていることに,「パーソナルな」コンピュータにこだわる Apple の意図を見て取れるのである.これは多言語統合システムという環境と不可分のものであり, Mac OS 8 で現れたことえり 2 との協調などシステムソフトウェアの一部なのである.コンピュータが Knowledge Navigator であるならば, Sherlock はその中心的位置を占めなければならないのだ.

しかし, Knowledge Navigator の性質は当初の構想にはなかったインターネットの出現によって多少変更され,インターネットをも Knowledge Navigator の一部に取り込もうという意欲的な試みも計られた.

これらのことは,ユーザに明確に伝わっただろうか. Macintosh が世に出たときのような衝撃や熱狂は Sherlock にはない.Sherlock の内容検索とインターネット検索はコンピュータの新しい使い方として十分評価できるものであるが, Apple は Knowledge Navigator としての Sherlock の提示を控えめに行った.



「 Mac OS の課題(限界?)」


Mac OS はすでに System 7.5.2 で限界が示されていた.それらは未だに改善されていない.これは従来のユーザを受け継がなければならないという課題と両立の困難な部分である.

・ 32bit 処理の限界
・ 32bit ファイルシステムによるファイルサイズ上限の問題
・ 屋上屋,つぎはぎを重ねたシステムソフトウェアによるオーバーヘッド
・ AppleTalk ネットワークの限界

Mac OS かあるいは全く新しい OS には次の課題がある.

・ 64bit 処理
・真のマルチタスク
・メモリ保護等堅牢なシステム
・完全な PPC ネイティブ化
・ TCP/IP による完全なインターネット対応と高速なネットワークアーキテクチャ

そしてなにより,「新しいパーソナルコンピュータの姿」

これらを Mac OS としてこれまでの System 7 の延長上に供給することにはもともと無理がある.いつかはこれまでの遺産を切り捨て,新しい OS として再生する必要がある.それが Mac OS X になるのかどうかは分からない.(64bit 処理でないことだけは確かだ)

しかし,同時に Apple は Mac OS 8.5 で Apple の所期の使命を忘れていないことを我々に告げた.その理念を失わず OS を変容させていくことが必要だ.

ここで私の意見を少し書かせてもらう. Macintosh が CPU 能力を誇り,ベンチマークをユーザに提示するのはどんなものだろう.そのようなハードウェアを誇るだけのコンピュータは,私にはもう Macintosh ではない. Apple が Apple である所以は「新しいパーソナルコンピュータの姿」を常に追求し提示し続けることにある. Macintosh が他のコンピュータと異なるのは Macintosh が「新しいパーソナルコンピュータの姿」を具現するはずのものである点なのだ.

Macintosh は OS のライセンス供与を始め,そして中止した.これには大きい意味があった. Macintosh が新しいコンピュータの姿を提示するためにはハードウェアと OS が統合されなければならない. OS のライセンス供与はその意味からすると Macintosh を矮小化し, OS だけの存在とするものであった. Macintosh は Mac OS が動くただの箱であってはいけないのだ.ハードウェアと OS が統合されなければできないような,新しいパーソナルコンピュータの姿を提示すべきなのだ. Windows などの GUI との細かな違いや,クロック周波数の早さ,また株価の上昇をこれみよがしに誇大に報告する姿を私は Apple に見たくない.

だが, Mac OS 8.5 で Apple は忘れていないと私に告げてくれたように思っている.それが Mac OS 8.5 の持つ意味合いだった.現在のコンピュータの過当競争の中で Apple にあれもこれも望むことはしない.この一点でいい.自信を持って歩んでほしい.私の危惧の半面はやや解消された.希望は持ち続ける.


「 Mac OS 8.6 」


Mac OS 8.5 を Mac OS 8.6 が出現した時点で評価しようとしているのだから,今, Mac OS 8.6 を評価することは時期尚早だ.ただ,私がここで書いたような Mac OS 8.5 の登場の経緯からすると, Mac OS 8.6 あるいはそれ以降の OS は Knowledge Navigator としての性格を保ち発展させながら, Mac OS 8.5 の OS の中心的な部分でモダーン OS として求められる要件を満足させるよう, System 7 からの脱却を計らなければならない.

Mac OS 8.6 のナノカーネル実装は Mac OS 8.6 の中心的課題が何であるかを如実に語るものである. NewWorld を採用した最初のバージョンである Mac OS「 8.5 」はその点でも重要であった.ナノカーネル実装に NewWorld と呼ばれるコードネームの ROM によらない OS コアの RAM での実行というアーキテクチャが意味を持つものなのだ.それが順調にいくものであれば私の Mac OS についての深刻なもう一つの危惧も解消されることに希望がもてるようになるだろう.



(C) Akiyama Satoru



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