PowerBook の バッテリ持続時間を延ばす Tips & FAQs Macintosh News |
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PowerBook の
バッテリ持続時間を延ばす
PowerBook でメインバッテリの持続時間を延ばすいくつかの方法を記す.一般的なものであるので,バッテリ固有の持続時間やメモリ効果,マシン機種に依存する影響などにはほとんど触れない.また,外出先で AC 電源から電源アダブタにより電源供給する方法として AC 電源のある場所の見つけ方とか,キーボードショートカットを多用して操作時間自体を短縮するといった使用法もここでは範疇外とする.
要約
PowerBook バッテリ駆動時間を次のようにして延ばすことができる.
「事前の準備」
・ PC カード, ADB 機器,拡張ベイ周辺機器はできるだけ外す
・フロッピードライブにフロッピーを入れない
・バッテリ駆動前に作業環境を構築し,スリープしておく
「設定」
・省エネルギー設定などでスリープにすぐ入るよう設定する
・ RAM ディスクに作成中の書類,日本語辞書,ブラウザ初期設定を入れる
・バッテリ駆動が多い場合は最小限のシステムを RAM ディスクから起動する
・プロセッサ・サイクリングをオンにする
・仮想記憶は切り,ディスクキャッシュを大きく設定する
・スピーカはオフ
「使用中」
・操作しない時間はこまめにスリープする
・長くスリープする場合はシステム終了する
・バックライトを最も暗くしてこまめに切る.可能であれば切って使う
・ハードディスク回転停止をこころがける
・システムやアプリケーションの起動はなるべくしない
・ AppleTalk は起動後の設定で切る
・通信ソフトウェアを使用しない場合は切る
「その他」
・ハードディスク,メモリ, ADB 機器,拡張ベイや PC カードなど周辺機器は電力消費量の少ないことも評価して選択する
・バッテリ温度を低く保つような環境を心がける
バッテリ持続時間に関わる要因
PowerBook のメインバッテリ持続時間はその PowerBook でバッテリ駆動中に要する電力消費によって主に決まる.従って, PowerBook のバッテリ持続時間を延ばすには PowerBook が駆動中にどこの部分に電源が供給されるか考えればよい. PowerBook では次の装置に電源が供給されている.PowerBook でバッテリを長持ちさせるためにはまず第一にこれらの電源供給をできるだけ少なくすればよいということになる.しかし,バッテリ持続時間に影響する要因は,上記の電力消費する各装置だけではない.例えばバッテリの温度などバッテリの状態そのものも影響する.ここではこれらの要因について以下に各項目毎に記すことにする.また,当然の事ながら,バッテリは十分に充電されていることが持続時間を長くするための前提となることは言うまでもない.
- ・液晶モニタのバックライト
・液晶モニタ
・内蔵ハードディスク
・ CPU
・メモリ
・拡張ベイなど周辺装置
・ PC カード
・内蔵モデム
・スピーカ
・ ADB 装置
・ファン
・ドータボードなど拡張カード
・マザーボード
ほか
主な要因
バッテリ持続時間に影響の及ぶ要因のうち,バックライトとハードディスクの回転の占める割合がかなり大きいと言われ,二大要因と考えられている.この二つを特に重視し,優先して電源供給を節約することは効果があると言われている.つまり,バックライトはできるだけ暗くしてなおかつなるべく点灯している時間を短くする.また,ハードディスクにアクセスしないようにして回転させないようにする.
しかし,私は CPU の消費電力が大きい場合など CPU 要因がハードディスクの回転の要因を上回ることがある点を指摘したい.初期の CPU では消費電力も小さく CPU を要因として考える必要はあまりなかったが, Power PC 化されどんどん消費電力が大きくなるにつれて影響も大きくなってきている. CPU アップグレードカードなどを装着する場合もあり,カードによって影響がかなりある.
私は CPU 消費電力が大きい場合はハードディスクの回転停止の効果が全体に占める割合について少なくなってきたように思え,バッテリ持続時間だけを考えた場合にハードディスクの回転停止に使う労力になかなか見合わないように思える場合がある.私としては過去の二大要因を改めて,バックライトと CPU を二大要因と言い換えた方がよいのではないかと思っている.
ただし, CPU とハードディスクを比較するとハードディスクは CPU よりユーザーがコントロールできる部分がかなりある.逆に言うと CPU はコントロールできる手だてがあまりない.また,ハードディスクの回転停止は発熱他に与える影響が大きくそれらは持続時間以上に重視しなければならない要因になる場合もあり,他の意義,必要性を持つようになっている.
バックライト
バッテリ持続時間に与える影響力の強い要因である.バックライトはなるべく切る.直射日光など明るい光のあるところではバックライトを切った方が視認性がよくなることもある.また,モノクロ液晶モニタはバックライトを切った状態でも多少視認性がよい.カラー液晶モニタはその点バックライトを切った状態では視認性はよくない.
ブックライトなど他の光源を使用してバックライトを切る使い方もある.ただ,この場合,バッテリ駆動を要するような環境でブックライトを使用することには可搬性を損なうなど多少の無理もある.
モニタのスリープはバックライトも切るので短時間でモニタをスリープさせる設定にしておくが,必要ない場合にこまめに調節ボタンを手動でいちいち消灯させることもでき,その方が効果的である.
バックライトの輝度も電力消費に影響する.輝度は調節ボタンで最低にする.
スクリーンセーバはバックライトの電力消費に影響を与えないのでバッテリ持続時間とは関係ない.スクリーンセーバで画面が暗くなっていてもバックライトは点きっぱなしである.また,ガンマなどによってモニタを暗くしていてもバックライトそのものの輝度を下げるわけではないのでこれも影響しない.
内蔵ハードディスクの回転停止
ハードディスクで回転しているディスクのモータへの電力供給が主に影響する.そのため,ハードディスクの回転を停止させることによってバッテリ持続時間を長くできる.ハードディスクはハードディスクにデータを読みに行ったり書き込んだりする際に回転しなければならない.そのためデータなどへのアクセスを最小限にすることと,回転している場合にこまめに停止させる.
ハードディスクが回転するのを抑制する方法はいろいろあり,これまで多くの方々が工夫を凝らしてきたので以下に記したい.しかし,方法が多いほどそれにかける労力は多いのに対して,ハードディスクの性能の向上や CPU 消費電力の増大に伴って,これらの方法が持続時間を延ばす決定的方法ではなくなろうとしていると感じている.
ただし,これらの方法は単にハードディスクの消費電力を削減するだけでなく発熱の抑制や静粛性,振動抑止といった他の効果があり,むしろそちらに注目すべきである.従って,これらの方法が無意味になってきているのではなく,ますます必要になってきているとも考えられる.
「ディスクアクセスを最小限にする(1) RAM ディスク」「ディスクアクセスを最小限にする(2)仮想記憶を切る」
- ハードディスクに頻繁にアクセスするファイル等は RAM ディスクを作成してそこに入れておく. RAM ディスクに入れておくと効果のあるものの例を次に示す.
・作成中のファイル・日本語変換辞書
- 保存時にアクセスするので,頻繁に保存する必要のあるファイルは RAM ディスクに置いておき,そこから立ち上げ,作業終了時にハードディスクに戻すようにする.
・ Web ブラウザ等の初期設定
- テキストデータやワードプロセッサなどでの文書作成作時には変換毎に日本語辞書を参照するため,日本語辞書を RAM ディスクに入れておけばハードディスクへのアクセスを少なくできる.
・システムフォルダ
- Netscape 等のブラウザの初期設定を RAM ディスクに入れておけば, Web を利用したり,ブラウザにローカルファイルを表示する際にハードディスクにアクセスしなくなる.この方法は何もバッテリ持続時間に有効なだけでなく,ブラウジングの操作性その他に絶大な効果があり PowerBook だけでなくても推奨したい.
ただし,一般化しているキャッシュだけの RAM ディスク保存では回転抑制効果が全くないことを知るべきである.初期設定の内容ほとんどを RAM ディスクに入れておかなければハードディスクにすぐにアクセスすることになる.速度増加にもキャッシュだけの RAM ディスク保存では不十分である.
参考:
Netscape 初期設定の RAM ディスク保存
- 小さいシステムを常用している場合で RAM ディスクの大きいものを作ることができる環境であればシステムフォルダを RAM ディスクに入れておいてそこから起動する方法がある.この場合は日本語辞書や WWW ブラウザの初期設定を別に作る必要もなくなる.
大変有効な方法ではあるが, OS のバージョンが上がるにつれてシステムフォルダの容量が増大してきているのでおいそれと実行できなくなってきている.しかし,バッテリ駆動がほとんどの場合のユーザーであれば最適化した最小限のシステムフォルダを作成して RAM ディスク上で常用することは十分考えられるべきである.「ディスクアクセスを最小限にする(3)ディスクキャッシュ」
- 仮想記憶を使用すると一時書き込みディスクにアクセスするために仮想記憶は切る.
「ディスクアクセスを最小限にする(4)システムとアプリケーション起動の抑制」
- メモリコントロールパネルにあるハードディスクのディスクキャッシュを大きく設定する.再度のアクセスなどが抑制され,ウインドウを開くなどの際に効果がある.
「ディスクアクセスを最小限にする(5)アプリケーションメモリ割り当て」
- PowerBook が起動する際のディスクアクセスは長く,バッテリを大幅に消費する.同様にアプリケーションの起動もアクセスが長い.そのため,必要もなく再起動などしないようにする.バッテリを使用することが予想される際には,事前に AC 電源アダブタ接続時に必要な設定で起動しておき,アプリケーションの環境も整えておいてスリープさせる.
また,システムをなるべく軽くして不要な機能拡張類を読み込まなくて済むようにしたり,アプリケーションのプラグインを減少させるとそれぞれの起動時間が短縮され,ディスクアクセスがより少なくなるという人もいる.このような最適化を行うのであれば, RAM ディスクからの起動と併用するといいだろう.この場合は頻繁に使用するアプリケーションも RAM ディスクに入れたい.「ディスクアクセスを最小限にする(6) AppleTalk を切る」
- アプリケーションのメモリ割り当てを増大することでディスクアクセスを抑制できるアプリケーションがあるので,そのような場合はメモリ割り当てを増加させる.これは RAM ディスクにアプリケーションを入れることとは無関係である.
内蔵ハードディスク製品
- AppleTalk を切ることでファイル共有等でのディスクアクセスを防ぐことができる.また,システムの起動時間など Macintosh の操作全体のスローダウンを防ぐ効果もある.
AppleTalk はオフにして Macintosh を起動すると,何かで AppleTalk を使用したい場合には再起動しなければならなくなる.再起動は電力消費が大きいので, AppleTalk は常にオンにしていて,バッテリ駆動時に AppleTalk コントロールパネルなどからオフにしておけば,必要な場合に再起動せずに AppleTalk をオンにできる.
PowerBook のハードディスクの換装はめったに行えるものではないが,ハードディスクは製品によって消費電力が異なるので消費電力の少ない製品を選ぶことも考えられる.
ハードディスクの性能では容量や速さに目を奪われがちになるが,消費電力も重要である. PowerBook の電源への負担を考えないと動作不安定になるし,ここの本題であるバッテリ持続時間にも影響する.なるべく消費電力の少ない製品を選択するようにする.(ここでは関係ないが PowerBook のハードディスク選択の際の重要なファクタは他に発熱と静粛性,振動という点がある.また,マシンの ROM の内容や使用 OS バージョンによっては使用できるハードディスク容量に上限がある場合がある)
ハードディスクは一般には容量が大きいと消費電力が多くなると思われているが,メーカーや製品によって異なる.また,古い製品に比べて新しい製品は消費電力に改善がある場合がある.一概に大容量だから消費電力が多いとも限らない.特に古い PowerBook を持っている場合は大容量のハードディスクに換装してもあまり影響がない場合もある.
CPU のプロセッサ・サイクリング
CPU をオフにしてコンピュータを使い続けることはできないが,省エネルギーコントロールパネルなどにあるプロセッササイクリングを許容することによってかなりの改善がある.プロセッサ・サイクリングは PowerBook にある機能で,キーボード,マウス,トラックボール,トラックパッドが数秒以上使われいないと CPU が判断したときに動作し,プロセッサの速度を 3 MHz程度に引き下げることによってバッテリの持続時間を伸ばす.
ただし,プロセッサ・サイクリングはユーザーによる CPU 負荷が一定時間ない場合にオンになるので,操作をし続けるような使い方では有効にならない.文書の推敲中などに無駄な操作を避け,プロセッサ・サイクリングを活かすように意識する.
機種と OS のバージョンによっては省エネルギー設定コントロールパネルで "プロセッサ・スピードを落とす" という設定がプロセッサ・サイクリング以外に可能である場合がある.
メモリ
メモリも電力を消費するものであるので大容量のメモリを搭載する際には考慮しなければならない.いったん搭載したメモリの電力消費をコントロールすることはできないので,メモリ消費電力を減らすためにはメモリを外すか,取り付けの際にメモリモデュールのうち消費電力の少ないものを選ぶようにする.メモリ増設の際にはバッテリ持続時間が確実に短くなることを知って行い,メモリモデュールの消費電力の製品による違いにも注意する.
拡張ベイなど周辺装置
必要ない限り周辺装置を拡張ベイで使用したり, SCSI 接続しないようにする.フロッピーや CD-ROM,ハードディスクなどはアクセス毎にディスクを回転させるための電力が必要である.また,それらドライブにディスクやフロッピーなどが挿入されていない場合でも電力が消費される場合があるので,ドライブ自体を外しておいた方がよい.
PC カード
PC カードは電力を消費する.必要なければ外しておく.
PowerBook の機種により PC カードスロットの Card & Sockets Service と OS のバージョンによっては省エネルギー設定コントロールパネルで "使用していない PC カードには電力を供給しない" という設定が可能である.しかし,設定できる機種であっても通信やスマートメディアなどの PC カードの種類によっては設定していても電力消費している場合があるので使用していない PC カードは外すべきである.
対応可能な Card & Sockets Service のバージョンは 3.0 からで PowerBook 2400, 3400, G3 から対応している.また, OS バージョンは Mac OS 8.5 以降である.
内蔵モデム
PC カードのモデムも内蔵モデムも Fax などの通信アプリケーションがバックグラウンドで受信状態になっている場合は常に電力消費されている.使用していない場合はそれらアプリケーションあるいは機能拡張類をオフにすべきである.また,内蔵モデムは通常使用終了後も 30 秒はオフにならず電力消費し続けている仕様となっている.
スピーカ
必要なければ音量を 0 にする.
ADB 装置
マウス,キーボードその他 ADB 機器を接続している場合には電力が消費される.必要ない場合はバッテリ駆動時にはこれら機器を接続しないようにするか,複数接続している場合には機器数を少なくするかする.必要な場合でも ADB 機器製品によって消費電力が異なるので消費電力の少ない機器を選択する.
ファン/マザーボード
これらは改造しない限り消費電力を削減することはできない.ファンは比較的簡単に動かないようにできるが,ファンが動作するにはそれなりの理由があるので改造したりしない方がよい.
ドータボードなど拡張カード
CPU アップグレードカードは CPU の種類によってはかなりの電力消費があり,バッテリ持続時間に影響する.テキスト処理がほとんどの場合でバッテリ駆動が多いような使用法では, CPU アップグレードをしても処理速度のメリットよりバッテリ持続時間を短くして全体の使用環境を悪くすることもある.
液晶モニタの画素色
カラー液晶モニタでの表示が影響すると Apple が公表してる技術文書に記載されている.液晶モニタでの表示を暗くするというものである.なるべく暗くして,逆に白に近い表示は避けるとよいという.しかし私自身は未確認である.試しにデスクトップパターンを黒と白に切り替えてみたが,バッテリ持続時間の残り時間表示には影響を認められなかった.本当に影響があるとしてもその効果は小さいと思われる.
スリープとシステム終了
ここまで記したような諸要素をスリープさせることによって一度に消費電力を削減できる.使用しない場合はスリープさせる.スリープはモニタを閉じるか, F キーを利用できる場合は command+shift+0 を用いる.
スリープ中でもバッテリは消費される.長くスリープする場合のバッテリ消費が起動にかかるバッテリ消費を上回る場合はシステム終了する.
スリープ時間の目安は機種,システム構成によってかなり異なるように思われる.アップルは 5300 では 30 分以上スリープする場合システム終了した方がよいという文書を公開したことがあるが,これが他の機種でも有効だとは思えない.
今回, Battery Display などのフリーウェアを用いてバッテリ残量を計ることでスリープとシステム終了の相関を出そうとしたのだが,バッテリ残量を表示するそれらフリーウェア( Battery Display は Apple 技術者作)にどの程度の信頼性があるのか分からなくなってとん挫した.一応,私はバッテリ駆動時に 2-3 時間程度以上使用しないと予想される場合はスリープでなくシステム終了しているのだが,そのように使わない時間が長く続くこと自体があまりない.
99/1/2
(C) Akiyama Satoru
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