Macintosh トラブルデータベース Archives |
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[ 98/6/27]
●プライマリスクリプト問題解明: Text Encoding Converter 1.3 DT の限定機能
過去,本ページでは Mac OS 8.1 の Unicode 対応から Disk Tools PPC などの使用についてプライマリスクリプトに関連した深刻な問題が起き, HFS + の操作に関して日本語環境での操作に支障が生じることを紹介している.この件について,鷲見氏から大変有益なご意見をいただいた.
問題は 英語版 Disk Tools PPC とそこで使われている Text Encoding Converter のバージョンの機能限定に起因するというものである.もし,そうであれば,ここまで説明の付いていない諸現象を明白に説明でき,混乱を収拾できるだろう.また,確実に対処すれば HFS + とプライマリスクリプトについて問題を回避することができる.以下に掲載する.(表示の問題があり一部秋山が改編させていただいている)● Mac OS 8.1 HFS + 日本語表示対応 PPC 起動フロッピーの作成
- 私は起動ボリューム(内蔵 1.1G HDD,1 MacOS パーティション)のメンテナンス時には,Disk Tools PPC ディスクに入っている特殊システムを RAMディスクに複製し,それを起動ディスクとして使用しています.システムファイルのバージョン表記は 8.1DT です.(中略 - 秋山)
当初,このシステムでマシンを起動し,内蔵 HD を Drive Setup 1.5 で HFS Plus フォーマット後,あらかじめ別の HFS ボリュームにとってあったバックアップを Finder のコピー機能を用いリストアするという作業を行ないました(以上 Roman スクリプト).HFS Plus ボリュームで起動し(スクリプトは日本語),ボリューム名を変更した後,別の用件(HFS Plus 対応 Speed Disk Beta の試用)で再び RAM ディスクで起動したところ HFS Plus ボリュームをマウントすることができなかった(これは既知のトラブルですね)ためこの問題に興味を持ち,調査をはじめました.
紆余曲折ありましたが結論を申し上げますと,少なくとも私の使っている英語システムのプライマリスクリプトを日本語にしたシステムの場合,ボリュームがマウントされない問題,および,マウントされてもファイル名等の表示が名無しになる問題については Disk Tools 付属のサブセット版 Text Encoding Converter(以下,TEC)バージョン 1.3DT に原因があると判断できる結果が得られました.行なった実験の際のプライマリスクリプト,TEC のバージョンの組み合わせと,その際,対象となるボリュームがマウントされるかどうかを下にまとめます.以上の結果は,TEC 1.3 さえ入っていれば,プライマリスクリプト,ボリューム名変更時のスクリプトのいかんを問わず,正常にマウントされることを示しています.
- 1.日本語スクリプトシステム上で HFS Plus ボリューム名を変え,
2.Roman スクリプトシステム上で HFS Plus ボリューム名を変え,
- 起動ディスク(RAM ディスク, 8.1DT改*)
プライマリスクリプト=日本語,TEC なし
→ マウントされず
プライマリスクリプト=日本語,TEC 1.3DT
→ マウントされず
プライマリスクリプト=日本語,TEC 1.3
→ 正常
プライマリスクリプト= Roman,TEC なし
→ マウントされず
プライマリスクリプト= Roman,TEC 1.3DT
→ マウントされるが名無し
プライマリスクリプト= Roman,TEC 1.3
→ 正常*** 日本語スクリプトリソース,WorldScript II,大阪 J1-2.02DT,等を加えた後,Script Switcher 等でプライマリスクリプトを日本語に変更したもの.実験中のプライマリスクリプトの変更は Shift キーを用いた WorldScript II を含めた拡張機能の起動時不活化による.
- 起動ディスクシステムの…
プライマリスクリプト=日本語,TEC なし
→ マウントされず
プライマリスクリプト=日本語,TEC 1.3DT
→ マウントされず
プライマリスクリプト=日本語,TEC 1.3
→ 正常
プライマリスクリプト= Roman,TEC なし
→ マウントされず
プライマリスクリプト= Roman,TEC 1.3DT
→ 正常
プライマリスクリプト= Roman,TEC 1.3
→ 正常
** もちろんこの場合,WorldScript II 等不活化のため日本語表示に必要な機能は失われているので,いわゆる2バイトコードで名前をつけた場合はその Shift JIS コード上下バイトに対応する特殊文字表記(文字化け)になる.しかし,名前表示の欠落などは起こらない.
マウントされたボリューム上のファイル名表示に関する不都合(名無し状態になり,名前の変更,ファイルの削除や移動ができなくなる)については,次のような状況で確認できました.どうやら(と言っても Apple の警告からも容易に推察されることなのですが)TEC 1.3DT は,Roman でしか動作しない上,仮に動作しても他スクリプトで書かれたボリューム/ファイル名を正常に表示するために必要な変換機能までは持ちあわせていないと想定するとうまく状況が説明できるようです.
- 1.日本語スクリプトシステム上でコピーしたファイル
2.Roman スクリプトシステム上でコピーしたファイル
- 起動ディスクシステムの…
プライマリスクリプト=日本語,TEC 1.3
→ 正常
プライマリスクリプト= Roman,TEC 1.3DT
→ 名無し
プライマリスクリプト= Roman,TEC 1.3
→ 正常**
- 起動ディスクシステムの…
プライマリスクリプト=日本語,TEC 1.3
→ 正常
プライマリスクリプト= Roman,TEC 1.3DT
→ 正常
プライマリスクリプト= Roman,TEC 1.3
→ 正常
そこで,日本語スクリプトで使用する HFS Plus ボリュームの構築の際は,という 2 点を注意したらよいことが分かりました.
- 1) 英語版 Disk Tools ディスクやそのシステムの使用は避ける
2) やむなくそのシステムを使用するときにはプライマリスクリプトを日本語にし,TEC を 1.3DT でなく 1.3 に入れ替えた特別な構成にして行なうこと
上記項目に基づいて, PPC Macintosh で HFS + を認識し,かつ日本語を表示できるフロッピーを作成してみた.以下の方法は私が適当に作ってみたら動いたというものであるので,動作に責任は持てない.一応, 7100 (NuBus PPC), 7200 (601), 5430 (603e 一体型 ), 6410 (603e),8500 (604e), 2400 (603ev), G3 DT266 (750) で起動でき,日本語を表示することを確認している.( 6260 では日本語表示に問題があった) HFS + ディスクの読み書きについては 2400 と 5430 および 8500 でしか確認できていない.
1.必要なファイルの入手2. Text Encoding Converter 1.3 DT の日本語対応化
- Disk Tools PPC
ScriptSwitcher8
日本語スクリプト(英語Systemで起動した状態で漢字 Talkなどの日本語システムの Systemスーツケースを開くと取り出すことができる. Shiftキーで日本語システムを起動しても取り出すことができる)
Text Encoding Converter 1.3 以上
ResEdit
フォント:大阪,大阪 L1(J1-2.0.2DT あるいは 2.0.4DTなどのバージョン.過去の漢字Talk や 2400 添付のディスクツールなどにある)
WorldScript II,丸漢サポート(J1 7.5DTなどのバージョン.過去の漢字Talkや 2400 添付のディスクツールなどにある)これで,日本語スクリプトでフォーマットされたディスク対応の起動フロッピーができる.このままでは日本語表示できないが,一応その状態でも使用できる.
- 内蔵ハードディスクの日本語環境で起動し,フロッピーの Disk First Aid と Drive Setup Lite を捨てる
▼
Text Encoding Converter 1.3 と Disk Tools PPC の Text Encoding Converter 1.3 DT を ResEdit で開き,次の リソースを 1.3 から, 1.3 DT に新規または上書きコピーする.
- "cfrg"
"uhdr"(上書き)▼
1.3 の次のリソースを開き,その中の"メMacOS Japaneseモ"を 1.3 DT の対応リソース中にコピーする.
- "tnam"
"ufqc"
"ufrm"
"utom"
▼
1.3 の次のリソースを開き,その中の"メMacOS Japaneseモ"を 1.3 DT の ResEdit で開かれたウィンドウにコピーし,追加する.
- "utos"
3.日本語表示機能の追加これでたいがいは大丈夫だと思うが,もしも日本語表示で問題が起きる場合は漢字 Talk 7.5.5 までの「表示」コントロールパネルで大阪を指定する.
- フロッピーの System スーツケースに日本語スクリプト, Extensionsフォルダに"WorldScript II" DT と"丸漢サポート" DT, Fontsフォルダに"大阪" と "大阪 L1"をコピーする
▼
フロッピーから起動し,ハードディスクにある ScriptSwitcherを開いて Japaneseを指定し,再起動する
私の作ってみたものでは 90 k 程度の空きができた.最新の Disk First Aid や Drive Setup は入らないが SCSIProbe くらいは入る.この状態ではまだ削除できるリソースがそのまま残っているのでそれらを削除すれば, Disk First Aid を入れることもできよう.
入手するファイルのうち,各漢字 Talk 添付ディスクツールのファイルについては自身で購入したものを使い,使用許諾違反にならないようご注意いただきたい. RAMディスクを使用している環境ではこのディスクの使用時に RAMディスクのバックアップをとってから試していただきたい.
参考:
Mac OS 8 US 版の日本語化
トラブルシューティングと最小限のシステムの作成法
●ローカライズ 8.1 CD-ROM で一部 Macintosh にインストールできない:日本語版は無関係か?
TIL: 30573 : Power Macintosh 5400/6400: International Mac OS 8.1 Issue
Power Macintosh 5400/600/5500/6500/20th Anniversary Macintosh で Apple Video-in card を装着したものについて, US 版以外の Mac OS 8.1 CD-ROM からのシステムインストール時にビープ音が繰り返されてフリーズしてしまい,インストールできない問題が記述されている.問題は ROM に入っている警告音の "Simple Beep" について各国語版システム上で名称変更していることに由来する.
この問題はカナダ,ドイツ,オランダ,デンマーク,ノルウェー,イタリア,フランス版で確認されているとされていて,日本語版は確認されていないようだ.また,原因についても日本語版は関係ないとも思える.私のところにも皆様からのご報告はこれまでないので日本語版では問題ないのかもしれない.
(C) Akiyama Satoru